パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

リハビリ459-研修生のA嬢、再び

 

さて、次ブログ(リハビリ458)と前後してしまったが、どちらを先に読んで戴いても差し支えない。

 

さて、S士による理学療法の施術の後は、M士による作業療法だ。 私が台の上で仰向けになって待っていると、M士がやって来た。 否、M士と研修生のA嬢とがやって来た。 そう、前回も一緒だった彼女である。

 

http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2019/02/07/100122

 

すると、台の上に仰向けに寝ている私を見て、

 

   「(折角、台の上にいるので、)久し振りに、腹筋(運動)をやりましょう」

 

と言って、輪投げ用具一式をどこからか、持って来た。 そう、以前やったヤツだ。

 

   http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2018/08/17/085605

 

これが終わると、彼は、私をテーブルに案内し、着席させた。 そして、私の横に、椅子を一脚はなえて、A嬢にそこに座る様に促した。 そして、自分は今から、書道用具を取りに行くから、これで書字の練習をする様に・・と私に言いながら、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の2ページ目と鉛筆を置いて、彼女には、もし、私の書字が速くなったら、その旨を注意する様・・言い残して、消えた。 そこで私は、早速、「イツモシズカニワラッテヰル 一日ニ玄米四合ト味噌ト・・」となぞってから、その横のマス内に書き始めた。 

 

   https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/P/PSP-PAGF/20190211/20190211205240.jpg

 

すると、私の書字が速くなった時に、彼女が

 

    「速いですよ」

 

と注意した。 勿論、その時は速度を落とすが、また速くなってしまう・・ すると、また注意が来る。 まぁ、彼女とのコミュニケーションが取れるので、余り直す積もりも無い・・ そんな不純な動機に気付かないのか、気付いているのに気付かない振りをしているのか、チャンと注意が飛んでくる!?! 

 

そんな事をしていると、M士が習字道具一式を携えて、戻って来た。 彼が、早速テーブルの上に新聞紙を広げ、その上のフェルトの下敷きと半紙を置いたので、私が文鎮で紙を押さえた。 そして、彼女が硯に墨汁を出して、一本の筆をえらんだ。 それは、全く腰の無い、フニャフニャした筆であった。 恐らく、私が使った筆と同じだろう。

 

   http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2018/12/27/090629 (の後半)

 

   「何て書きましょうか?」

 

と彼女が言うので、M士が手本の中から「春立つ日」を選んだ。 早速、衆目の中。書き始めた。 すると、テーブルの対面に座っていた患者・二人が、

 

   「巧いねぇー」、「巧いよぉー」

 

と称賛していた。 それが、これである。

 

   https://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/P/PSP-PAGF/20190213/20190213093757.jpg

 

これを、腰の無い筆で、書くのである。 まぁ、これ位書けるわぁー・・と思う人もいるだろう。 しかし、何度も言う様であるが、全く腰の無い筆で書くのである。 打ち込めば太くなり、払っても形にならず、「つ」の様な筆の方向が変わる字では、変わる場所でも太くなり、それはそれは、困難を極める!!! 他には例えば、「日」の2画目の角など、ハッキリと書けている。 しかも彼女は、手本を一瞥したのみである!?! 尚、「春」の5画目の払いでは、紙が破れる・・と言うアクシデントも発生している。

 

彼女の作品を見て、私は次の格言を思い出した。

 

   「弘法、筆を選ばず」

 

を。 これは、上手く書けなかった事を、筆のせいにしてはならない・・と言う意味だろう。