やってしまった(1) ― 転倒編
さて、5月の2日は、5連休の初日である。 天候が良い事と相まって、何か、ウキウキとした気分である。
そこで、庭に出て、少し歩いて見ようと思った。 そうだ、歩行器だ! あの歩行器さえあれば、どこへでも行ける!!! 見ると、歩行器が玄関内にある。 そうだ、これを外に出せば良い!!!!!
そう思って、玄関の扉を開け、歩行器を出した。 そして、段差に差し掛かった。 ウン、大丈夫、この段差は、何度も歩行器で降りている。 そう思って、歩行器の前輪が段差に差し掛かった時、前輪が回転し、下の段差に落ちた。 すると、その落ちた歩行器に引っ張られる様に、私も落ちてしまった。 まぁ、病気でなければ、足が前に出るのだろう。 しかし、元々足の動きが悪い病気である。 そのまま、前に倒れて行ってしまった・・
では、床面との衝突を避けるために、手を突いたか? これが、律儀に歩行器の両手のグリップを持ったままだった。 必然的に、顔面がコンクリートに向かって行った。 まるで、スローモーション映画を見ている様だった・・
コンクリが目前に迫って来る。 拙い、このままだと、顔面が衝突する・・ 今、私が出来る事は。腕に力を入れて、衝撃を避ける事だ! 私がそうするも、足は段の上なので、前のめりになってしまう!!!
そして、遂に額がコンクリに当たってしまった。 かなりの衝撃だ。 これは、出血してしまったなぁ・・と思い、次の動作を考えていると、その様子を見ていた妻が飛んで来て、私の背中側に廻り込み、上半身を起こした。 すると、額から、血が十滴程が滴(したた)り落ちた。 私は、それを見て、
「(しまった! やってしまったぁ~・・)」
と思った。 すると、妻が長女を呼び、ティッシュ(ペーパー)を持ってこさせ、取り急ぎ、圧迫止血をした。
え? 新婚の長女がなぜ、実家にいるか・・ですって!?! 実は、未だ新居が決まらず、このGっを、夫婦が夫々の実家で過ごす・・と言うのだ。 まぁ、色々と物件を当たってはいるが、中々「これ!」と言うのは、見つからないらしい。
話しは戻って、出血が収まると、妻はそのティッシュをテープで止め、病院に行く準備をし出した。 そんなに重症なのだろうか? そんな心配をしている私をよそに、車は一路、T胃腸科医院に向かった。 そう、前回の転倒時も前頭部を6針も縫った所である。
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医院に着いと、ヨタヨタしながら入ると、スリッパに履き替えてから、先ずはトイレにて石鹸で手を洗い、続いて待合室に入る時に次亜塩素酸水を手に吹き付けて、擦れ・・と言うのだ。 そして最後に、待っていると職員が出て来て、非接触型の体温計で首の辺りで測る。 そして、どうやら37,0℃以上だと、ダメらしい・・
私の体温が36.8℃あり、発熱しているか否か迷った職員は、妻にその事を告げた様だ。 妻は、
「今、歩いて来たからじゃあ、ないですか?」
と平然と答えていた。 尚、妻は、36.0℃だった。