パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

N整形外科を受診する(2)

一体、どの様なキャラクターの医師なのだろう・・と思っていたら、N医師がこちらを向いた。 体格は良く、顔はゴルフ焼けだろうか、浅黒い顔に鋭い眼光を放ち、老人相手が多いのか声が大きいため、どこか迫力のある印象である。 年齢は、50代半ばと思えた。

 

先ずは、病歴についての質問があった。 約11年前の発症であり、総合病院の脳神経内科に掛かった。 その後、同じ総合病院でリハビリを受ける様になり、7年近くが過ぎて行った。 その途中、K大学病院(のS医師のセカンドオピニオン)により、進行性核上性麻痺との病名が決定した。 昨年9月、〇〇中央クリニックに「パーキンソン病の大家がいる・・」と聞いて、転院して、現在に至る旨を説明した。

 

また、介護保険を利用したリハビリについては、総合病院の理学療法士のオススメである事も紹介した。 以上の事柄を書き留めていたN医師は、小さな声で自問する様に

 

   「麻痺って、どこが痺れるんだろう・・?」

 

と言った。 「進行性核上性麻痺」を知らない様だ。 と言っても、無理も無い。 否、知っているだけでも、驚きモノである。 それ程、レアな神経上の難病なのである。

 

――――――――――

 

さて、N医師は、具体的な診察に入った。 と言うのもケアマネのMさんからの手紙に応えなければならないからだろう。 その手紙は、Mさんから受診時にN医師に書いて貰う様、我々に託されたものだ。(内容は、後で紹介する。) 

 

N医師は、私に診察台に乗って、仰向けになる様指示した。 私がなると、片足を鉛直に(真上に)持ち上げ

 

   「う~ん、反対の脚が持ちあがっちゃうなぁ・・」

 

と言った。 また、それらを記録している間に、看護師が図を示し、

 

   「これ、出来ますか?」

 

と訊いた。 それは、四つん這いのまま、対角の手と脚とを上げるものである。 これは、総合病院のリハビリでI士と散々やったので、すぐにやったらその看護師が驚いていた。 そこで私は、

 

   「以前、やった事があるんです」

 

と手の内を明かした。

 

さて、N医師は、私に台から降りる様指示し、

 

   「(ここに手を置いて、)片足立ちをして見て下さい?」

 

と自分のデスクの隅に手を置いて、言った。 私は、一旦、デスクに左手を置き、片足立ちになり、

 

   「(どこか、手で持っていたら、『片足立ち』にならない)」

 

と思い、手を離そうとしたら、N医師が、

 

   「どこか持っていないと危ないから、持ってて下さい?」

 

と言った。 そして、反対側の脚でも同様の事を行った。

 

続いて彼は、

 

   「前屈して、両手を床に着けて下さい」

 

と言うので、やって見ると床には着かず、5cm程上空で止まった。 すると、彼は、私の左右の腕を鉛直に上げたり、私の上半身を後ろや横に、

 

   「固いねぇ、固いねぇ・・」

 

と言いながら、曲げたりしていた。 そして、何かを書きながら、

 

   「体が固いと、転んだ時に股関節を骨折したら、寝たきりになっちゃうよ。 それに、首の(周囲の)関節が固いと転んだ時に頸椎を骨折して、首から下は全く動かないのに、頭だけは正常・・と言う最悪な状態になっちゃうよ!」

 

と、言った。 すると、妻が、

 

   「主人は、何かキッカケがあるとやり始めるんですが、直ぐに飽きちゃうんです。 それに、一日中パソコンに向かっているですぅ・・」

 

と言うと、彼は、

 

   「自分の事だよ! チャンとやらないと、奥さん、逃げちゃうよ!!!」

 

と諭す様に言った。