パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

リハビリ479―「二つの事を同時に、出来ない・・」

 

さて、今日は4月の中旬、リハビリのある日だ。 そこで、妻の運転で総合病院に出掛けた。 今日は、作業療法が先にある。 そこで、ほぼ定刻に現れたM士とリハビリテーション室に入り、いつものデスクの前に腰掛けた。

 

最初は、枠内に名前と住所を書く練習だ。 ただ、今回は手本が無いので、彼が指で机をタップしてから、次の一画を書く・・と言う方法をとった。

 

すると、今度は、自分でタップせよ・・と言う。 私が左手の中指でタップしながら書くと、彼は、

 

   「もっと強くタップしてぇ・・」

 

と指示した。 私は左手で机を叩きながら、右手で文字⒦を書き始めた。 しかし、文字に集中すると、左手でのタップが弱くなる。 すると、M士からは、

 

   「もっと、強く叩いてぇ!」

 

と檄が飛ぶ。 まぁ、その時は、強くなが、また文字に集中すると、弱くなって、注意を受ける。 そんな事も3回目となると、M士の語尾が強くなる。 私は、仕方なく、

 

   「二つの事を同時に、出来ないんです」

 

と正直に答えた。 まぁ、パーキンソン病では、右手を上げて「キラキラ星」をしながら左手で自分の左膝をトントンと叩く事が難しい・・と言う。 きっとM士は、その事を知っていたい以外ない。 それ以上は、何も言わなかった。

 

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さて、書字練習が終わると、彼は枕と紙筒を、棚から見繕って来て、枕をデスクの上に置いた。 そして、その枕の上に両手を置いて、その紙筒を私に渡し、両手で水平に握る様に言った。 その結果、長さ60cm・直径5cm程の紙筒の中央近辺を私が両手で持つと、私の正面に座った彼は、同じく両手で、筒の、私の両手の外側を持った。 そして、こう言った。

 

   「私が、筒を回転させますから、回転しない様に、(紙筒を)抑えて下さい」

 

と。 こう言いながら、彼は筒を回転させようと、力を入れた。 そして、私は筒が回転しない様に、逆向きに力を入れた。 勿論、筒は回転しなかった。 しかし、彼が筒を回転させるタイミングが分からないと、私(=患者)は常時力を入れていなければならず、それはやがて疲労に繋がり、患者の力(=能力)の正当な評価になり得ない。 ・・そう思ったのだろう、彼は、こんなやりかたを提案して来た。 

 

   「私が『力を入れてぇ』と言って五つ数えて、『力を抜いてぇ』と言うから,それに合わせて」

 

と。 そして、これを10クール繰り返した。

 

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最後に彼は、同じ髪筒を左手で縦に持ち、右手の内、親指・薬指・小指の3本で筒を握り、残りの2本の指をピンと伸ばした。 彼は、私に同じ様に持つ様、促し、

 

   「力を入れてぇ、1、2、3、4、5、力を抜いてぇ」

 

と、何度か声を掛けた。 私は、筒が回転しない様に、必死で筒を持つ3本の指に力を入れ、抑えた。 すると・・

 

自然と、中指が丸まってきてしまう。 それをM士は、直した。 まぁ、彼は、私が中指も使ってゴマをしている等とは思っていないだろう。 唯、誰が、何処から見ても正しくやっている・・と言う事をアッピールするための「形」なのだろう。

 

そして、同じ事を左手でも行った。