パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

診察201803―2

 

 (4) 診療上の希望について  

 

  •  ④ 処方については、現在のままでお願い申し上げます。
  •  ⑤ グルタチオンの点滴(保険適用外)は、試す価値がありますでしょうか?

パーキンソン病に対しては、「コウノメソッド」として、一定の評価を得ている。

進行性核上性麻痺(以下、PSP)に対しても、「歩行障害」の改善に繋がった例もある。

  • 鹿児島認知症ブログ ― 「PSPの方がグルタチオンを開始」

  ( http://www.ninchi-shou.com/entry/2014/08/29/060800

「併せて物忘れ症状も出現。名古屋フォレストクリニックを受診し、PSPの診断で、同日にグルタチオン1800mg投与。直後から歩行が著明に改善。」(赤文字は、原文のまま)

  • コウノメソッド徒然草 ― その9 PSP での経験 (いりえ内科クリニック)

http://irie-clinic.m78.com/kounomethod10.html

『次に

グルタチオン 1600mg
ソルコセリル 12ML
の点滴を行いました。

そうしたところ、なんとなんと点滴をしている最中から「物がはっきり見えてきた」「物の色がはっきりと鮮やかに見えるようになってきた」と患者さんが言い始めました。

と、言うことはこの方はソルコセリルが劇的に効果を上げたとのことなのでしょう。』

 

問題は、勿論⑤である.  この項目で、F医師は「う~ん・・」と唸ってしまった。

 

まぁ、健康保険対象外の治療は、保険医としては推奨できないだろう。 かと言って、何か(代替となる様な)「タマ」を持っている訳でもない・・

 

すると、彼は「ゾニサミド」の話しを始めた

 

「ゾニサミドは元々、抗てんかん薬として開発されましたが、パーキンソン病を持つてんかんの人がゾニサミド(商品名:エクセグラン)を服用したら、パーキンソン病が良くなった事から、トレリーフという名前で抗パーキンソン病薬として発売される事になったんですよ」

 

実は、この話しを聞くのは、3度目である。

 

    http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2017/09/13/105410 (1回目)

 

    http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2017/11/05/075517 (2回目)

 

なぜ、F医師がこの話しを持ち出したのか、その真意は分りかねるが、忖度しると次の様だろう。

 

   「もし肝臓の薬であっても、それ(=グルタチオン)が本当にPSPに有効なら、(ゾニサミドのパーキンソン病に対する様に)ニセ薬(=偽薬)を使って臨床試験(=Phase III、ダブルブラインドテスト)が行われ(て、有効性が確認され)るハズである」 

 

尚、「ニセ薬」と言う言葉は、F医師によるものである。 では、なぜ製薬会社がグルタチオンをPSPまで効能拡大を行わないのか? 少なくとも、次の6つはあると思う。

 

  • 患者数が少ない。 (10万人当たり4~5人と言われている)
  • 確定診断が難しい。 更に7つもある臨床病型への分類は、一層、困難。
  • 患者の各ステージに対する臨床症状が、余りにも多彩である。
  • 改善に対する、定量的で普遍的な指標がない。
  • グルタチオンの薬価が、注射用・200mgで56円(後発品)~96円と、低い。
  • 有効率が40~60%と低く、効かない人には全く効かない。

 

まぁ、同じ臨床病型の近いステージの患者を一生懸命集めても、病型によっては、統計的に有意な差が得られる程の(患者)集団が得られるとも思われない。 例えば、私が罹患するPSP-PAGFは、全PSPの3%しかいない。 即ち、例えばPSP-PAGF(純粋無動症)に対する適応症拡大のために、費用を掛けて臨床試験をやっても、経済的に合わないのだろう。 つまり、Orphan Drug(希少疾病用医薬品)を作っても仕方ないと考えているのかも?

 

結局、F医師は賛成とも反対とも言わなかった。 もし「やってみたら?」と言うとしたら、「患者情報提供書」(=「紹介状」)を書いて貰う時のために、グルタチオン点滴をやっている医院名と院長名をWeb Siteから印刷して持参したが、結局、持ち帰った。

 

そして、次回診察を6週間後に予約し、F医師に礼を言って、本日の受診を終えた。