リハビリ124―お手玉
そんな7月の上旬、総合病院のリハビリの日となった。 いつものM医師による予診後、定刻に担当のO士が現われ、開始となった。
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私がうつ伏せになりO士の施術を受けていると、すぐ近くで私を呼ぶ女性の声がした。 見ると、ケーシーを着た理学療法士が、台に腰掛けた初老の男性患者に呼びかけていたのだった。
「○○さ〜ん、これ・・ 何だか分かりますか?」
つまり、その男性は私と同姓だったのだ。
「・・」 (声が小さく、私の所では男性の返事が聞こえない。)
女性の手を見ると、黄色いものが乗っている。
「そう、お・て・だ・ま!」
見ると、黄色いお手玉が4〜5個、手の上に積み重なっていた。
「今から私が(このお手玉を)隠しますから、探して下さいね。」
って、ポケットに隠しては、ミエミエ。 それにポケットと言っても、女性服には小さなのが2〜3箇所しかないし、その一部は既にメモ帳等が専有している。 あと隠す場所と言えば、服の中とかズボンの中とか?
「あぁ、それ・・ 私にもやらせて下さい!」
と、思わず出そうになってしまった。 ・・が、見ていると、違った。 隠す場所はリハビリ室内のアチコチだった。 つまり、「お手玉探し」と言うゲーム性を加味した、室内歩行訓練だったのだ。
あらぬ妄想をした自分に、恥じ入るばかりである。