パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

診察―201108-2(遅延の元凶は、電子カルテか?)

 このメモを見ながら、I医師はキーボードを打ち出した。 白くて細い指先が華麗に踊り、モニター画面には次々と文字が並んで行った。 そう、カルテが完全に電子化されたのだ。

 

いくら高速タイピングであっても、文章量が多いので入力に時間がかかる。 これこそが、待ち時間が異常に長かった原因とも思われた。 それでも、妻と私はI医師のタイピングの速さと正確さに、暫し見入ってしまった。 

 

I医師は私のメモを見ながら転記しているのであるが、当然、ブラインドタッチである。 漢字変換候補すら見ていないのに、次々と・・ でも、私がパソコンに入力した文字を再入力するのも、時間と労力の無駄である。

 

   「今度は、(メモの内容を)USBメモリーで持ってきましょうか?」 (私)

 

と提案したら、それは個人情報保護の観点から出来ないだろう・・と言う。 つまり、USBポートがブロックされているらしい。 言われてみれば、その通りだ。 外部メモリー経由の患者データ漏出事件を、ニュースで散見する。

 

病院の憲章にも、個人情報保護の旨が掲げてある。 でもその憲章の冒頭には、患者が医療の主役であり、患者の立場に立つ医療を遂行する旨が宣言してある。 これだけ待たせて「患者の立場」とは、笑止千万であるが・・

 

まぁ、この遅れは、導入時の一時的なものかも知れない。 その旨の掲示が、受付の脇にあった。 

 

しかし、医師の皆が、I医師ほどの高速ブラインドタッチができるとは、限らないだろう。 まぁ、医師としての技能以外の所で、時間が掛かってしまっているとしたら、残念な(=非効率な)仕組みだ。

 

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ひとしきり入力し終えたI医師は、診察に入った。 今回は、関節の拘縮と筋肉の固縮の検査から始まった。 それは、メモに次の様に書いてあったからであろう。