パーキンソン症候群と海外旅行
荷物の内、トランクは妻が持ってくれた。 大き目なので、二人で1個だ。 自分の手荷物は肩から斜め掛けできるカバンを選んだので、両手を空けられる。 そして、電車では座れた。 駅での昇降には、極力エレベーターかエスカレーターを用いた。 それらがない所では、必ず手摺りを利用した。
苦手なのは他人と同じ速度で歩く事と、狭い所を通る事だ。 前者は歩行障害と動作緩慢により、後者はすくみ足による。 空港では列に並ぶ機会が多いし、決まって赤いテープでガイドがある。 ここが最悪である。 ガイドでは180度転向するので、列が急に進むとバランスを失いそうになる上に、摑まる所もない。
妻はそれを心得ていて、肩から掛けたカバンのベルトを後ろから持ってくれた。 また、少し広い所では、横に並んで腕を組んでくれた。 まるで、ラブラブの旧婚旅行みたいだ。
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スタッフも、みな優しくて親切だ。 航空会社のカウンターでは、係りがテープを外して近道を作ってくれたり、飛行機の入り口では、私の歩行を見た乗務員は
「Slowly、Slowly」
と言って、手でゆっくり歩くジェスチャーをしてくれた。
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ゲートの入り口も苦手だ。 でも、金属探知機をくぐる時は急ぐ必要もないし、床のタイルを目印に歩ける。 同じゲートでも、こういうのは大丈夫だ。 それに両手を広げて、
「何も、ありませんよ」
とコミカルに歩いても不自然ではない。 金属を持っていないので、堂々とユックリ歩けば良い。
反対に、手に何か持っていると、バランスが取りにくい。 (意識の問題と思われる。) そこでパスポートや搭乗券は、極力カバンに入れておくようにした。