診察201203-1
中待ち用のソファーに腰掛けて待っていると、壁に新しいポスターが掲示されていた。 多系統萎縮症と類縁疾患の家庭看護に関する、パネルディスカッションの開催案内である。 定員は80名であるが、申し込めばインターネットのライブ配信を受ける事ができるそうである。 外出の難しい患者や家族には、配信の方が便利であろう。
そんな事に感心しながらそのポスターに見入っていると、診察室の扉が開いて、I医師の姿が見えた。 そう、自分で開けたのである。 理由は、私がソファーから立ち上がる様子を観察したかったのであろう・・
呼ばれて診察室に入り、診察券を提示した。 もう「顔パス」で十分であるが、診察室の入り口にその旨のポスターがあったからである。 I医師も、敢て診察券は見なかった。
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私は杖を妻に渡し、患者用の椅子に掛けた。 そうして、定番であるメモを渡した。
前回受診以降の症状の変化
? 症状に、特に変化は無かった。
? 但し、1月下旬発生の転倒事故の影響が残った。
・ 安静(=運動量低下)による、筋力の低下。
・ 不自然な姿勢(=左腕の固定)による、バランスの悪化。
・ 再度の転倒防止のための、杖の常用。
I医師はそれを読み、次の様にコメントし、安堵を示した。
「この『特に変化が無かった』と言うのが、よかったわ」
と。 つまり、転倒事故を受けて症状が悪化したのでは? ・・と言う懸念を持っていた様である。
そして、整形外科のカルテをモニターに出し、
「(左腕の振幅は)90度(=水平)まで、許可・・ね」
と、確認した。