災害と医療
避難者の中には、何らかの慢性疾患を抱えている人も多いだろう。 継続的な治療は、受ける事が可能なのだろうか? 腎透析などでは、「治療の切れ目が、命の切れ目」となってしまう。 人工呼吸器を必要としている患者では、「電気の切れ目が、命の切れ目」である。 予備のバッテリーや酸素ボンベだって、数時間かしか持たない。
私と同じパーキンソン病類縁疾患の患者もいるだろう。 「10万人当たり100〜150人」の発症率と言われているので、ピーク時の44万人では単純計算で少なくとも500人近くもの患者がいた事となる。 もし治療薬を欠いているなら、私の手元のマドパー配合錠とビ・シフロールを届けて上げたい。 (でも何れの薬剤も要指示薬なので、それは違法となってしまうが。)
しかし医薬品に限らず、食料品(粉ミルク)・衣料品・飲料水・食器・紙オムツなどの生活必需品でさえ、トラックの燃料不足で避難所に届けられないそうである。
もどかしい・・
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避難している人は、常用薬を持っていない人が多いと思われる。 なぜなら、貴重品や常用薬を持ち出そうとした人は、逃げ遅れてしまった可能性があるからである。
聞いた話ではあるが、最初に襲った津波は小さかったそうである。 これに安心して、貴重品や常用薬を取りに、一旦家に戻った人が多かったとか? そこへ第二波の巨大津波が襲い・・
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災害対策と言う訳ではないか、私は処方薬を数日分持ち歩く様にしている。 パーキンソン病は急性疾患ではないが、いつ、何が起こるか分からないからである。 それが役に立たない事を願っているのは、申すまでも無い。
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2011年3月下旬ともなると品不足も徐々に解消し、計画停電も中止の事が多くなってきた。
土曜日の早朝10時、自転車で近所のスーパーに牛乳を買いに行った。 震災以来、灯油・ガソリン不足が続いているので、ガソリン節約のための自転車だ。 健康的でもある。
そのスーパーでは、まだ「牛乳、お一人様一本」の限定販売だった。 でも、特別不足している様でもなかった。 その他のものも、ペットボトル水を除いては、潤沢にあった。 一時はトイレットペーパーも棚から消えたが、我が家のトイレは温水洗浄の上に、乾燥機能も付いている。 いざとなれば、トイレットペーパーは不要である。
その帰り、行きつけのガソリンスタンドを覗いたら、営業しているではないか!!! 店員にきくと、今日の分のガソリンは十分あると・・。 一旦帰宅して再度車ででかけ、満タンとなった。 震災以来、半月ぶりである。
ようやく、いつもの生活に戻れた・・と言う印象である。
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後日、別のスーパーに行く機会があったが、駐車場も店内も混雑していた。 牛乳とミネラルウォーターが「一家族一本」の限定があっただけである。 パンも米も限定が解除されていた。 品数は少ないものの、卵もあった。
駐車場が満杯と言う事は、皆、ガソリンが入れられた・・と言う事でもある。 ようやく、日常が戻ってきた。
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2011年3月の中・下旬、この所症状は安定している。 構音障害と姿勢反射障害がある位だ。 とは言っても、日常生活で困っている程でもない。 従って、段々と特筆する事も少なくなってきた。 薬の飲み忘れは、ない。