パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

コップ一杯の水で・・

コップ一杯の水で何をするかと言うと、歯磨きである。 皆さんは歯を磨く時に、全部でコップに何杯位の水を使うだろうか?

 

もう何十年も前の事になるが、私はある戦争体験記を読んだ。 恐らく太平洋戦争末期の頃の事が書いてあったのだと思う。 その中に書いてあり、未だに印象に残っているエッセィのタイトルが「コップ一杯の水で歯磨きをする」であったのだ。

 

太平洋戦争も末期となると戦況は厳しさを増し、本国からの補給物資も途絶えた前線での生活の苦難は、想像を絶したに違いない。 やがて飲料水にも事欠く様になり、そのタイトルにあった様に、歯磨きに「コップ一杯の水」しか使えなくなるのである。

 

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まぁ、これだけの事であるが、何に書いてあったのか、誰が書いたのかも全く思い出せない中、この件(くだり)だけが印象的で、記憶に残っているのである。

 

その理由は?

 

きっと、父の思い出に結び付いているからかも知れない。

 

生前、父は酒に酔うと、子供達に自分の戦争体験を語った。 きっと戦後生まれの子供達には新鮮に思えたのであろう。 目を輝かせて聴き入る子と、子の様子に得意げに、喜色満面で話す父の顔・・ もうそれだけで平和で、幸せな家庭の一断面だ。

 

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父の話しは、入隊前の検査・入隊・初年兵の生活の様子から、南方への転進・乗船・撃沈・捕虜生活へと進み、終戦・除隊・帰国へと続いた。 酒の上だからなのか、それらのトピックを面白可笑しく語るのである。

 

まぁ、辛かった戦争体験をストレートに聞いても子も母も楽しくはなかったろう。 でも現実は、「コップ一杯の水」さえどれほど貴重だったかは、想像に難くない。

 

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では、コップ一杯の水で歯磨きが可能か否か、明日にでも皆さんに試して頂きたい。 そうすれば、今の日本がどれほど平和で恵まれているのか、実感して戴けるだろう・・。

 

   「日本人は、安全と水はタダだと思っている」

 

と。

 

あの戦争体験の手記をもう一度読みたくなり、「コップ一杯の水で歯磨き」で Google等の検索エンジンに掛けてみた。 すると、節水の話題ばかりで、それらしきトピックに突き当たらなかった。

 

それでも尚、私は歯を磨く時に、このエッセィを思い出してしまうのである、丁度明日からの貴方(貴女)の様に・・