リハビリ168―彼のコンプレックス
2014年2月上旬、今日は理学療法と作業療法の、両方がある日である。(寒) 長丁場だ。
先ずは理学療法がいつも通り午後3時から始まるのであるが、早目に到着したら例によってエアロバイクをして貰えた。 で、負荷を見ると、1.0kg・mになっている!?! O士は先週の事を忘れてしまったらしい。 そして、負荷0.5kg・mから始まる設定でスタートした。 50~60回転/分を維持していると、負荷が自動的に0.6、0.7・・と設定値まで増えるのが、脚の感覚で分かった。
負荷が1.0で漕ぎ続けていると、脈拍が130近くまで上昇する事がある。 その時は、一旦回転を落として深呼吸すると、110位迄下がる。
やがて20分が経過し、クールダウン・サイクルに入った。 今回は、30秒でクールダウンを切り上げ、施術に入った。 後が支えているので、急いだのだろう。
「この前の大雪の時は、会社は休んだんですか?」
「いえ、普通に出勤しました。」
「私も、です。 患者さんには『危ないから(リハビリを)キャンセルしても良いですよ』と言っておいたんですが、皆勤でした。」
「皆さん、熱心なんですねぇ・・」
「えぇ、私は『リハビリに来て、転んでケガでもされては(本末転倒だ)・・』と言っているんですけどねぇ」
と言いつつ、O士は嬉しそうな表情を見せた。 でも彼は、理学療法士と言う職種に、コンプレックスを持っている様だ。
一つは、制度の問題だ。 どんなに力量のある理学療法士でも、医師の指示(処方)が無いと「治療(業としての施術)」が出来ない事である。 だから将来自分の子供は、医師にしたいらしい。
もう一つは、処遇(給与)だ。
「今の給料だと、自分は食って行けるけど、家族を養うのは無理・・ 結婚しても奥さんに働いて貰わなくっちゃ。」
「(結婚相手として)看護師さんとかは?」
「頭が上がりませんよ、看護師の方が給料が高いから。」
「・・」
「(看護師には)夜勤とかありますからね・・ そりゃ、夜勤は大変ですけど(その分、給料が高くなる)。」
「・・」
「理学療法士には夜勤はありませんから。」
と言いつつ、自虐的な笑みを見せた。 現実は厳しいのである。