リハビリ402―初めて、M士と
さて、検査がおわったら、続いての行事はリハビリである。 そこで我々は、一旦エレベーターで1階に降り、エレベーターを変えて、リハビリテーション科の外来受付に行った。 と言うのは、検査室へのエレベーターでは、同じ階でも病棟に行ってしまい、先の外来受付には行けないからである。 同じ棟の同じ階なのに、ヤヤコシイ話しである。
こうしてリハビリの受付に着く頃には、いつもの時刻になっていた。 つまり、検査と病院内の移動に、ほぼ30分を要した・・と言う事だ。 ここからは、いつも通りである。
と思ったら、予診はM医師でなく代診の医師であったが、診察室のカーテンを開けると、代診医師は、私を見ただけで、
「〇〇さんね?」
と言って、モニタ-のリストから、私の名前を探し始めた。 それから、車椅子を置いて来た妻が診察案内票を持って来たのだった。 きっと妻は、代診医師が私を憶えている事を知らないだろう。 それ程、自然な所作だった。
更にいつも通りでは無かった事として、担当の理学療法士がいつものI士でなく、また代替のY士でもなく、初めてのM士であった。 小顔のイケメンである。
早速、彼のサポートを得てリハビリ室に入り、空いている台を探して、リハビリの開始となった。 まずは、脚のマッサージやストレッチから・・であるが、まぁ、全体的にI士の強さの半分から7割ほどだろうか・・気持ち良くてウトウトとしてしまいそうだった。
女性に真ん中の足をマッサージして貰って気持ち良くなるのならまだ分かるけど、男性に両脚を・・では、後々の語り草になってしまう・・と思って、「頑張った。」
こうして、いよいよ靴を履いて、立位になった。 すると、途中、M士からこんな注意があった。 それは、靴を履くために、台に腰掛けた時の事であった。
「今、体重はお尻の中央付近にあるでしょ? もう少し浅く腰掛けてみて下さい・・ そう! そうすると、自然と背筋が伸びるでしょ!」
とM士が言うので、やってみたら、その通りだった。
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で、靴を履いて歩行練習でもするのかと思ったら、彼は壁の方に向かって歩き出した。 そして踵(きびす)を返して、壁に背を向けこんな説明をした。
「先ず、壁に踵(かかと)・尻・背中を着けてみて下さい。 次に、両腕を自然に下ろして、掌(てのひら)を壁に付けます。 続いて、両手を徐々に上げて下さい?」
というので、手を上げると・・
「ほらっ! 掌が壁から離れていますよ!!!」
と注意が飛んで来た。 改めて、掌を壁に付けた。 すると、肩の位置を変えざるを得なかった。 すると、彼は、
「もし無理なら、最初は少しずつ手を廻し、(その範囲を)少しずつ大きくして行ってもイイですよ・・」
とフォローしてくれた。 実際やって見て、これが、肩や肩甲骨の運動である事が分かった。