パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

公園にてランチ―5 

 

さて、2017年5月最後のイベントとして、烏賊博士と市内の公園に行く事にした。 勿論、彼の手作りピタ・パンでランチである。 そこで、私は自分で車を運転して、一度彼を勤務先にてピックアップし、それから公園に向かった。

 

前回の教訓から、身障者用駐車場のある駐車場に停めた。 そこから池までは200m位であろうか? 私は右手で杖を、そして左手で博士の背中のリュックを持ち、ペーブメント上を歩き始めた。 しかしいつもの様に、足が進まない。 こんなに歩行能力が低下したのは、数ヶ月ぶりである。

 

私は、その原因を色々と考え、事象に思いを巡らせた。 その結果、思い当たる事として、処方の変更があった。 尚、処方の変更とは、具体的にはノウリアストの中止である。

 

今更ながら・・であるが、矢張りノウリアストは効いていた。 F医師は、ドプスが効いている・・と思っている。 しかし、古くから服用していたので、私は最早無効だと思っているし、事実、飲み忘れても体調に変化は感じられない。 それこそが、私の「希望」欄に書いた内容だった。

 

   ――――――――――――――――――

 

さて、オットットとなりながらも烏賊博士に頼りながら進むと、下り階段に来た。 彼は

 

   「階段は、大丈夫?」

 

と心配そうに、私に訊いた。 階段の方が、寧ろ得意な旨を答えた私は、実際に階段を手摺りにも杖にも頼らず、歩いて見せた。 やがて、見開けた場所に来た。 眼下に駐車場が広がり、その右には運動施設の建物が、左には池が見えた。 池の端まで来ると、左右の分かれ道だ。 彼は、私の疲労を見て取ったのだろう、

 

   「チョット待ってて? 見て来る・・」

 

と言い残して、熊笹の間に消えた。 直ぐに折り返した彼は、

 

   「丁度、良い所があった」

 

と言い、私を案内した。 そこは、石垣が腰掛けるのに丁度良い高さになっていて、見晴らしも良い。 彼と私はそこに並んで腰掛け、彼のお手製のピタ・サンドイッチを頬張った。

 

池の向こう側には、ベンチが並んでいたが、片道300mはあろうか・・と言う距離だ。 

 

   「あそこにベンチはあるけど、遠いもんね!」

 

と彼が言った。 確かに・・ しかも、問題は距離だけではない、途中が私の苦手な「ダラダラ坂」なのだ。

 

   ―――――――――――――――――

 

そこで烏賊博士は、運動と反射について紹介した。 その内容は、以下の通りである。

 

人間には生まれながらにして、「歩行反射」が備わっている・・と言うのだ。 勿論、生後すぐに歩ける訳がない。 だから身体は大人が支えてやらなければならない。 即ち、その状態で両足を床に着けると、赤ちゃんがまるで歩く様に脚を交互に出す・・と言う。

 

やがて赤ちゃんは幼児になり、2歳頃から歩き始める。 勿論、その歩行は生後間もない頃の反射による歩行とは、本質的に異なる。 つまり、幼児の歩行をするためには、赤ちゃん時代の反射歩行を抑制しなければならない。 しかし、そのプロセスは不明である。

 

烏賊博士曰く、

 

   「どの教科書にも、この事が書いて無いんだよねぇ・・」

 

と彼は、自分が執筆中の教科書に入れるべきか否か、入れるとしたらどの様な形にしたら良いのか考えあぐねている様だった。

 

   ――――――――――――――――――

 

帰りも彼のリュックサックに掴まりながら、杖を頼りに無事に車に着いた。 こうして、彼の介助を得て、今度は彼を最寄りのJR駅に送った。