パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

診察201303―5

メモの下に目をやったI医師は、

 

   「(まだ)これは無いわね」

 

と、つぶやきともつかない小声で言った。 そこにはこんな事を書いて置いた。

 

現在、「沈黙のひと」(小池真理子著、文藝春秋)を読書中。 (PDによる構音障害により会話できず、振戦によりワープロ打鍵や文字盤の使用さえ困難になった実父・三國泰造が生きてきた軌跡・心の軌跡を、前妻の愛娘・衿子が辿って行く。)

 

つい我が身に置き換えてしまい、懸案であった宿題に取り掛った。

・ 債権・債務のリスト作成

・ 預金の整理(通帳・印鑑等)

・ 生命保険の見直し(指定代理人・受取人等)

 

そのつぶやきを聞き逃さなかった妻は、

 

   「そんなの読むと、涙が出ちゃいます」

 

と殊勝な事を言った。

 

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こうしている間に、診察も終了となった。

 

   「先生、この二年間、本当に有り難うございました」

 

と、妻と私は深く垂れながら礼を述べて席を立とうとしたら、

 

   「こちらこそ、有り難うございました」

 

と、笑顔を添えながら、逆に礼を言われてしまった。 本当に謙虚な人柄である。

 

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診察室を出て、待合室で会計を待っている間に受付の横に置いてある受診案内(B6の用紙)を見ると、「4月1日より」と書いてあった。 そしてこれまでI医師が担当していた曜日と時間帯を見ると、そこにはS医師の名があった。