構音障害と筋固縮
I医師が
「声を出しずらいんですか?」 (I医師)
と尋ねたので、以下、次の様な問答が続いた。
「えぇ・・ 聞き返されると、(ちゃんと発音できていない・・と思い)つい落ち込んでしまうんです」 (私)
「一日の内で、その(=気分の)変動はありますか?」 (I医師)
「ぁ、それは無いんです」 (私)
この障害には中枢性(脳神経障害に起因する)と末梢性(器質的障害に起因する)とがあるらしい。 因みに、知能の問題はない・・と、言って貰えた。
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次にI医師は小さな医療用ハンマーを出し、私の左右の腕や膝を、順次軽く叩いて行った。 筋肉の固縮の有無や、反射を調べているのであろう。 私が緊張しているのを知って、肩や肘の関節を廻し、リラックスする様に促した。
続いての検査は、手首の運動(震顫の有無)である。 I医師はキラキラ星運動や拍手(カスタネットを叩く様に、左右の手に段差を付け)を自ら行い、私に求めた。 この拍手の様子が、幼稚園の先生が園児に教える姿に似て、可愛いっ!!! 少し顔を傾けて、頬の横で「左、右」と拍手するのである。
「震えは、ないんですね?」 (I医師)
と、カルテに何か書きながら尋ねたので、
「ええ、元々ありませんでした」 (私)
と答えたら、妻が私に、
「最初から、(震えは)無かったよね?」 (妻)
とつぶやいた。 私は
「パーキンソン病では安静時震顫と言って、何もしていない時に(手が)震え、何か物を取ろうとすると止まるんだよ」 (私)
と教えた。 その会話を聞いていたI医師は
「そうなんです! 停留所でバスを待っているお年寄りの手が震えているのを見ると、(職業柄)パーキンソン病じゃないかなって、思っちゃうんです」 (I医師)
と言いながら、待合室で待っている様子を模して腕を自分の膝の上に置き、手を小刻みに動かしてみせた。