リハビリ69―ジャンプ
「主訴は歩行障害なんですけど、パーキンソン病に見られる4大症状はないんです。 震顫とか・・」
と、わざと手を震わせて見せた。 更に、
「すくみ足もあるんですが、パーキンソンに典型的なすくみ足とも 違うんです」
と添えた。 すると、今度はY士が
「私もパーキンソン病の人(のリハビリ)を何人かやった(=担当した)けれど、そのすくみ足とも違うんですよねぇ・・」
と言い、
「(脳神経内科で)担当のI先生も・・」
表現は忘れたが、要するに私の病状について本当の原因や最適な治療法(処方)を、完全には掴み切れてない旨の補足をした。
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Y士は、私に肋木の所まで行き、片手で摑まる様、指示した。 すると 部屋の隅からブルーの厚いスポンジを出してきた。 そして靴を脱ぎ、その上でジャンプする様に要請した。
私としたら運動能力の精一杯を出す積りで、できるだけ高く飛んで見せた。 するとY士は、
「高さは十分ですねぇ・・」
と評価はしたものの、
「でも、足首(のバネ)で飛んでいます。 低くても良いので、膝(のバネ)でやって見せて下さい」
と、自分の意と異なるジャンプである旨を添えた。 そして自身も少し膝を曲げて見せた。 意外な事に、こちらのほうが難しいのである。