L-DOPAの処方
私が書いた、そのメモにある質問項目の
「病名は、パーキンソン病でしょうか? 多系統萎縮症でしょうか?」
に対し、T医師は戸惑いながら、こう言ったのである。
「そうなんですよねぇ・・」(患者が病名を知りたいのは、当然ですよねぇ・・)
「でも、4つ項目があると、それぞれに○が2つ、×が2つ付く状態なんですよねぇ・・」
つまり、パーキンソン病としての診断基準が4つあれば、2つが該当し残りの2つが該当しないと言う意味である。 4つの診断項目以外では、例えば抗パーキンソン病薬であるビ・シフロールによく反応する点はパーキンソン病らしいし、僅かではあるが画像で小脳に萎縮がある点は多系統萎縮症らしい・・と言う。 既述ではあるが、多系統萎縮症では抗パーキンソン薬への反応は弱い。
また、パーキンソン病との診断に否定的だったMIBG検査の結果も悩ましいのであろう。
極めつけは、
「あと2〜3年して、症状が固まってくれば・・」(確実な診断ができるんですけどねぇ) (T医師)
で、あった。
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結局、病名の診断は降(くだ)らなかった。 T医師も確定診断をしたいらしく、
「TN先生とも相談したんですが、L-DOPAを処方して見ようと思うんです」 (T医師)
と。 L-DOPAはパーキンソン病の特効薬であり、これに反応する事自体が診断確定の一助となる。
但し、実際に処方されたのはマドパー配合錠、処方量は最小限(1回半錠、1日朝晩の2回)であった。 なお、ビ・シフロールは従来通り(0.125mg錠を1回1錠、1日3錠)である。
因みに、TN先生とは同じ脳神経内科の医師(女性)である。 私もTN医師については、よい評判を耳にしている。
では、そのマドパー配合錠とは、どんな薬なのだろうか?