抄読会―17
学校法人が冬休みだったので、私の友人である烏賊博士との抄読会も久し振りだ。 私は自分の運転で彼が講師をしている○○学園まで出掛けた。 学園の直ぐ隣の駐車場はまたしても満車だったので、道を挟んで反対側の駐車場に停めた。 そこで、私は「念のため」に持参した杖を使う事とした。
少し早めに到着したので、4階のラウンジで待った。 時間になったので、私が既に到着した旨を彼にメールしようとしたら彼が現れた。 彼は、スーパーの半透明の袋を渡し、
「もしピタで良かったら・・」
と言った。 今日は、中身がコンビーフだと言う。 毎回毎回申し訳ないが、美味しく戴いた。
――――――――――――――――――
さて、彼の現在の興味は、「予備電位」である。 これは、随意運動の直前に観察される脳波である。 先ず、どの位置で脳細胞の活性化されているのか・・である。 これを調べる事は、脳をマッピングする事に等しい。 その目的でMRIが使えないかどうかを検討しているらしい。
ただ、どうやって脳の活性化をマッピングするのか? 例えば、標識グルコースの取り込みをコリメーターを用いたSPECTで調べる方法がある。 しかし、一回の測定に時間が掛かると、時間分解能が落ちてしまう。
そこで、MRIの出番である。 彼によると、ATPaseの活性化を検出するのだと言う。
https://en.wikipedia.org/wiki/Sodium_MRI
――――――――――――――――――
もう一つの測定は、脳波である。 彼が脳波計を購入したのは、照会した。 1チャンネルと、5チャンネルを持っている。 唯、これを使いこなせていなかったのは、Bluetoothの相性によると言う。 今の段階では、その相性も理解している。
しかし、彼はnativeな脳波を測定したいのである。 そのためには、デバイスを自作しなければならない。 では、どうやって?
それには「raspberry Pi 3」(ラズベリーパイ3)を使うのである。
https://jyn.jp/raspberrypi3-getting-started/
これは、ワンボードマイコンであり、USB×4やHDMI、Ethernet、GPIO端子は勿論、WiFiやBluetoothまで持っている。 メモリーは1GBあり、SDカードを外部メモリーとして、ここからブートする。
これ以上、何が必要であろうか? ・・と思われる程の充実ぶりである。
では、ソフトウェアは? OSは、Linuxが走る。 そして、ライブラリーを借用するのである。 唯、ライブラリーはWindowsの方が充実しているらしく、彼はWindowsマシンも購入した。 どこから? 今、話題となっている「アリババ」からである。
――――――――――――――――――
彼が予想しているのは、「パーキンソン病患者では(随意運動時に)予備電位が上手く出ていない」だろうと言う事である。
唯、これをやるには、時間と費用が必要である。 時間については、
「自分がもっと若かったならなぁ・・」
と言い、費用については「教科書」を執筆し、出版する・・と言う。 そのためには、株式会社を設立したい・・と言う。 それなら多少のアドバイスを出せる。