パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

咳が出る


どうも咳が出る。 それもコホンコホンでなく、ゴホゴホゴホ・・と咽(むせ)るのである。 風邪かと思ったが、咳以外の症状はない。

 

余りにも続くので、近所の開業医にかかった。

 

医院の入口や待合室は広いので、まぁ、普通に歩けるのだが、診察室ではすくんでしまった。 入口は狭い、患者用の丸椅子は、座るのに不安定そう・・ それでも受付に「お薬手帳」を出しておいたので、医師はパーキンソン病だと理解している様だ。

 

やっとの思いで丸椅子に座り、問診と聴診を受けた。 呼吸器系の主訴なので、聴診は丹念だ。

 

   「喉に赤みはないですし、肺にも雑音はありません」

 

と評した。 受診直前に測った体温は36.7℃で、熱は無い。 オマケに診察室は暖かいので、咳は出ない。 つまり、顕著な他覚症状が無いのである。

 

医師は、

 

   「それでは、お薬を出しておきますねぇ・・」

 

と言い、棚からオレンジ色の表紙の本を取り出した。

 

   「マドパーとは大丈夫(=配合禁忌ではない)ですし・・」

 

と確認し、診察を終えた。 私が不器用に身支度を整えていると、医師は

 

   「一人でいらっしゃったんですか? 杖は使わないのですか?」

 

と案じてくれた。

 

だどたどしい足取りで診察室を出ようとしたら、またしても動作が不安定だ。 看護師に支えられて診察室を出た段階で、

 

   「後は大丈夫です。 歩き始めが難しいだけなんです」

 

と、制した。 そして廊下を平然と歩いて見せたら、看護師は

 

   (あら、本当!)

 

と言う驚きの声を漏らした。