家族旅行―4
さて、6時20分頃、部屋のチャイムが鳴った。 ドアは施錠してないので、女性の
「失礼しまーす、夕食をお持ちしました」
と言う声がした。 そして、テーブルに並べ始めた。 思った以上に豪華だ。
先ず、食前酒。 ワイングラスに梅酒が注いである。 甘めなので、皆で乾杯をして一気に干してしまった。
続いて、前菜。 二段の籠に、沢山の小鉢が並んでいる。 例えば、白和えや酢の物・・ 何れも、薄味で品が良い。 甘味を抑えた練り物もあった。 箸を運ぼうとした頃には、生ビールも届いた。
改めて乾杯をして、やがて飲み干す頃には、冷酒が届いた。 食事に合う様、長男が選んだ辛口だ。 と言っても、日本酒は地酒が2種類しかない。 しかし、飲んで見ると口当たりが良く、
「これ、本当にこれ、辛口?」
と、日本酒に詳しくない妻まで言い出した。 それなら・・と、甘口も注文した。
この頃には、刺身盛り合わせが届いた。 見ると、氷の上に乗っているのは、大トロと、厚いホタテ、脂の乗った白身である。 まさか海から遠い秩父の宿で、こんなに旨い刺身に出遇うなんて!
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/P/PSP-PAGF/20161020/20161020233243.jpg (本当は、大トロは3切れあった。)
そして、甘口の酒が届く頃には、本日のメインディッシュが運ばれて来た。 牛肉である。 見ると、適度にサシが入り、薄く切られた数枚が丁寧に折り畳まれている。 運んで来た女性によれば、
「近江牛です。 ここの女将の出身地なので・・」
と言う事らしい。 これを卓上の固形燃料で沸騰した湯で、しゃぶしゃぶにするらしい。 そしてこれを、ポン酢醤油だれかゴマだれで食べるのであるが、このどちらでも美味しい。
そろそろ甘口の日本酒が切れる頃、卓上の固形燃料が釜めしを炊き上げた。 ここまで、ほぼ2時間。
え? 甘口の日本酒の味ですか? まぁ、先の辛口と飲み比べれば違いが分かるけど・・ 何れもサッパリした飲み口で、グイグイいけました。
釜めしに箸を付ける頃、味噌汁が運ばれて来た。 赤味噌仕立てである。 この頃になると、もう満腹を越えてしまって、あの数時間前の空腹は一体本当だったのだろうか・・と思える程である。
それでも、この後、デザートが出ると言う。 ハテ、スイーツか、アイスクリームか、フルーツか・・と思ったら、その全部だった。
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/P/PSP-PAGF/20161020/20161020233244.jpg
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やがて9時を廻る頃、漸く宴が終わり、布団が敷かれた。 いよいよ・・である。