「沈黙のひと」、第一章
「『沈黙』は漢字で、『ひと』はひらがな・・なんです」
とは言ったが、店員は構わず「ちんもくのひと」で検索した。 モニター画面をみた店員は、
「あ、小池真理子ですね・・」
と言い、どこかの書棚から探してきてくれた。
「これでしょうか?」
と差しだされた本の表紙は、まさしくインターネットで見たそれだった。 ブックカバーを掛けて貰い、税込1750円をクレジットカードで支払った。
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パーキンソン病を患い、介護施設を終の棲家に選び、そしてその死を迎えた父・三國の遺品を片付ける衿子を中心に展開する第一章を読み終えた感想は、
「人間、歳は取りたくない」
「発症後7〜8年で、ああなってしまうのか?」
であった。 それに不安を覚えると同時に、遺品の中に裏ビデオや女性用バイブレターを見付けて不潔視する可奈子と千佳(異母姉妹)に対し、理解を示した衿子に
(そうだ、そうだ!)
とエールを送りたくなった。
今の私も発症から2年半、正直、性には興味あるし、それにまだまだ現役だ。 事実、妻と楽しい時間を持つ事が出来ている。 (と思っているのは、男だけか?)
これ以上書くとネタバレとなるので、興味を持たれた方は購入されたい。 ただ不思議なには、父が隠し持っていた性具が女性用だと、可奈子と千佳がすぐに分かった事である。 不潔視しているのに・・