転倒事故28−リハビリ
MM医師は私に椅子から立って、下げた左腕を前後に振って見る様に求めた。 私は左腕を振りながら、徐々にその振幅を増し、最後には前方ほぼ水平まで上げられた。
次に、左右に振る様に求めた。 しかし、こちらは水平までは及びもしなかった。 きっと方向により、関節に拘縮があるのが分かったのだろう。
MM医師は急に振り返り、カレンダーに目を遣った。 そして
「次回(の診察日)は、いつにしましょうか? ○○日か、○○日か・・」
と、候補日を2つ挙げてくれた。 それぞれ、2週間後と3週間後である。 まぁ、安定し、特別な不安もないので、3週間後でお願いした。
すると、リハビリについて、こんな指導があった。
「それでは最初の2週間は腕を水平まで、その後は上がる所まで上げてイイですよ」
と言いながら、MM医師は椅子に座ったまま、自分の腕を高く上げて見せた。 フムフム、これで大体の様子が分かった。
「もし十分上がらなかったら、奥さんに手伝ってもらってもイイし・・」
とも添えた。 妻は反応しなかったが、別の質問をした。
「あのぉ・・ このベルトは(まだ)しておいた方が良いんでしょうか?」
「ああ、もう要りませんね。」
「じゃあ、三角巾は?」
「そうですねぇ・・ 家ではしなくても良いでしょうが、外出する時は付けた方が良いでしょうね・・ 周囲が注意してくれますし・・」
と言う事になった。 これで、あの不便な拘束から開放されたのであった。
こうして診察は終了したので、妻と私は礼を述べて診察室の扉を閉めた。