パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

妻の手術−9 (手術開始)

 855分、定刻に看護士が車椅子を持って、妻を迎えにきた。 ストレッチャーではなかった。 そして車椅子の妻を先頭に、車椅子を押す看護士、家族、身内がゾロゾロと手術室の前まで付いて行った。 

 

そして皆の見守る中、看護士は妻の乗った車椅子を押して手術室に消えて行った。 暫しのお別れである。 

 

   ―――――――――――――――――――――――――

 

家族と身内は、病棟のディルームで待つ事になっている。 手術室への見送りから戻ったものの、皆、言葉も少ない。 やがて10時になり、誰からともなく

 

   「もう、始まったかなぁ・・」

 

と言う、小さな声が漏れた。

 

   ―――――――――――――――――――――――――

 

手術は昼を挟んで正味34時間である。 終了予定時刻は午後12時なので、交代で食事をする事とした。 私は第一陣として、義妹の一人と1階の院内食堂に行き、五目ラーメンで昼食を済ませた。 蝶の形をした具のキクラゲが、甲状腺に思えた。

 

そしてディルームに戻り、第二陣と交代した。 

 

所が、第二陣が帰る頃には、手術終了予定の午後1時を過ぎてしまった。 でも幸い、「お呼び」は無かった。 大体、手術時間というのは長めに伝えて置くものなので、「もしや」(=第二陣が戻る前に、手術終了の沙汰がある事)もあり得るかと思っていたのである。

 

そして待つ内に、午後2時を過ぎてしまった。 それでも、何の連絡も無いのである。 俗に

 

   『便りのないのは、よい便り』

 

と言うが、手術の場合は違う。 2時を廻り、10分、また10分と過ぎる内に、

 

   「遅いなぁ・・ 何かあったのかなぁ?」 (私)

 

と、不安が脳裏をよぎって行った。 ディルームの前の廊下を看護士が通る度に、

 

   「今度こそ・・ (手術室に呼ばれるのかなぁ)」 (私)

 

と思ってしまった。 

 

そうこうしている間に、時計は午後3時を示していた。 1時間以上の遅れである。 これはもう、何かあったに違いない!!!