パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

転倒事故(続)

 

早速、当番医を見ると、以前、母のお供で行った事のある医院だ。 そこで診療時間を見て、妻の運転で出掛けた。

 

着くと、診療開始約1時間前だと言うのに、数組の患者がいる。 妻が受付に行き、健康保険証を提示し診察の申し込みをした。 すると、受付から戻った妻が

 

   「ねぇ、保険証を見るだけで、何か病気を持っているって、分かるの?」

 

と不思議そうに訊いた。 私が、

 

   「そうだよ、75歳未満なのに、1割負担だから、ね!」

 

と言ったら、納得した様だった。

 

   ―――――――――――――――――――

 

診療開始時刻の10分程前になったら、看護師に呼ばれ、処置室に入った。 広い部屋ではあるが、ベッド3台とキャスター付きワゴンが幾つかあるので、私の最も苦手な隘路となっている。 脚がすくんで歩けないのを見た看護師2人に抱えてもらって、なんとか、窓側の、ベッドに仰向けになった。

 

待っていると、診療開始時刻に手術着を着た恰幅の良い医師が現れた。 医師は転倒状況について聞き、事件性は無い・・と思ったのか、早速傷口を診た。

 

   「口の中は切ってないですか?」

 

と訊いた。 私が大丈夫だった旨を答えると、医師は上唇をピンセッの様な器具でめくり上げて確認した。

 

   ――――――――――――――――――――

 

さて、医師は看護師に、

 

    「消毒液・・ あれぇ、葉っぱが入ってるなぁ・・ ハサミ・・ 消毒液・・ ゲンタ・・ ガーゼ・・」

 

とテキパキ指示して、傷を処置して行った。 こうして、最後に看護師がガーゼをテープで止め、終了した。

 

さて空気の抜けた車椅子を借りて会計を待った。 すると、ゲンタシン軟膏0.1×10gのみ処方され、数百円だった。

 

妻曰く、

 

   「ガーゼや消毒液って、病院じゃ出せないんだって。 薬局で自分買えってさー・・」

 

と、チョッピリ不満そうだった。 

 

   ――――――――――――――――――――

 

帰路、休日当番薬局で、①滅菌ガーゼ、②消毒液、③紙テープを購入して家路に就いた。 さて、本日の費用の内、①滅菌ガーゼが一番高価だった。 これも1割負担の効果である。

 

転倒事故

 

2017年8月下旬、処方変更から4日目の午後、妻のアパートの植栽を刈りに行った。 充電式のヘッジトリマーで、天面と側面を刈って行くのであるが、高さが50cm位しかないので、屈んで刈る事になる。 

 

早速始めたが、屈んだ姿勢で中腰なので、結構、辛い・・ で、そのままの格好で移動しようとしたら、前傾姿勢のままバランスを失ってしまった。 

 

   ―――――――――――――――――――――

 

迫り来る地面を見て思ったことは、唯一つ。

 

   「(ヘッジトリマーによる傷だけは、避けなければならない)」

 

である。 そのため、先ずはヘッジトリマーをアスファルト上に置いた。 続いて、上半身を伸ばして、顔がヘッジトリマーの上に来ないようにした。 もう、時間が無い、右手で顔を覆わねば・・ とは思ったが、間に合わなかった。 その結果、「顔面制動」となってしまった。

 

尚、以下のURLには、次の記述がある。

 

   http://www.nanbyou.or.jp/entry/4115

 

「バランスを失った時に上肢で防御するという反応が起きないため、顔面直撃による外傷を負うことが多い。」

 

私の場合は、将にこれであろう・・

 

   ――――――――――――――――――

 

体勢を立て直し、起き上がろうとしたら、ヘッジトリマーの刃やアスファルトの上に液体が垂れた。 見ると、鮮血である。

 

   「(しまったー! やってしまった・・)」

 

と思う頃、鼻の下に痛みを感じ始めた。 どうやら、顔面がアスファルトに衝突する時、反射的に顔を上げた様だ。 取り敢えず、圧迫止血をしなければならない。 そこで、車まで戻り、ティッシュペーパーで抑えた。 やがて、出血は止まったが、さてこの後、どうしよう・・ と考えあぐねていると、妻が気付いて、ビックリしていた。

 

   「先ずは、家に帰りましょう!」

 

と妻が言い、急いで園芸道具を車に積み込み、出発した。

 

   ―――――――――――――――――――

 

さて、家に着いたが、ハテどうしよう・・ とは思ったが、まぁ、いずれにしても医者に掛からなければならない。 と思って、どこにかかろう・・と思い、冷静になると・・

 

   「今日って、(病院の)休日じゃない?」

 

と言う事に気付いた。 と言うのも、アパートの駐車場には店子の車が皆無で、平日を思わせたからである。 さぁ、大変! 休日診療の外科の当番医を探さなければならない。 それには、市の広報誌を見なければ・・・ と思って、広報誌を見ても、どこに載っているのか分からない・・ 電話で訊こうにも、訊くべき先も分からない・・

 

と思って、挟み込んであるカレンダーを見ると・・ 何と。休日当番医が、小さな文字で載っている! これで何とかなりそうだ!!!

 

診察201708―4

 

では、中止する薬剤にいては? F医師は、こんなコメントを残した。

 

  • シンメトレルは急に止めると問題があるので、徐々に止めて行きましょう。
  • ノウリアストは急に止めても大丈夫でしょう。

 

前者を聞いた時、私は「悪性症候群」と言う言葉が脳裏をかすめたが、言わなかった。 また後者については、私は(脳神経内科医は処方に関しては保守的だ・・と)誤解していた。

 

   http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2017/07/26/090322

 

更にF医師は、私に血圧のコントロール状況を訊いた。 私は、

 

「起床時は境界域より低め、就寝時は正常です」

 

と言う旨を答えた。

 

   ―――――――――――――――

 

以上の事を勘案して、処方は次の様になった。 (処方量は1日当たり、いずれも食後)

 

薬剤

1~7日

8日~

シンメトレル50mg

朝 ・ 夕 2 錠

0 錠

マドパー配合錠」100mg

朝・昼・夕 3 錠

朝・昼・夕 3 錠

ドプスOD錠100mg

朝・昼・夕 6 錠

朝・昼・夕 6 錠

レリーフOD錠25mg

    夕 1 錠

    夕 1 錠

アリセプトD錠3mg

朝     1 錠

0 錠

アリセプトD錠5mg

0 錠

朝     1 錠

アムロジピン5mg

朝     1 錠

朝     1 錠

 

さて、このF医師の処方をFacebookの処方と比較すると、次の2点が異なっていた。

 

  • アリセプトを漸増し、制吐剤の使用を控えた。
  • レリーフを朝でなく、夕食後に服用する様、指示した。

 

この内、後者には次の様な理由があるものと思われた。 それは、トレリーフの薬物動態に関するものである。

 

 

と言う様にADME(投与後の吸収と代謝)の遅い薬剤なのだからである。 これはこれで、評価に値する。

 

診察201708―3  

 

さて、Facebookの記事を紹介しよう。 ・・と言っても、要参加許可のグループ(「パーキンソン病と暮らそう」)内の投稿なので、そのまま紹介するのは、マナー違反となる。 しかし、投稿者(池田さん)自身が

 

   「同じ病気の方の参考になればと思い、投稿しました」

 

と述べているので、その要旨のみを転記したい。

 

   「昨年12月に主人が進行性核上性麻痺と診断され、あっという間に進行し、6月に病院を変え、すぐにやっと1ヶ月リハビリ入院をして、一週間で見違えるほどよくなりました。 先生が取り寄せた論文に従い処方された3種類のお薬の混合で効いたようです。  単独では効かなかったパーキンソンの薬にすくみの薬と認知症のくすりを追加して3種類飲むと劇的に効くとのことです。最近発表された学会でも、服用前と服用後の動画を見て会場から拍手が沸き起こったそうです。

取り急ぎ処方をお知らせいたします。 みなさんにも効きますように!!!」

  • ドパコール配合錠L100 3 錠/日 (朝・昼・夕食後)
  • ドプスOD錠200mg 3 錠/日 (朝・昼・夕食後)
  • ストロカイン5mg 3 錠/日 (朝・昼・夕食後)
  • レリーフOD錠25mg 1 錠/日 (朝食後)
  • アリセプトD錠5mg 1 錠/日 (朝食後)

 

この処方を見て、F医師は、次の様にコメントした。(順不同)

 

  • ドパコールは薬局に(在庫が)無いので、マドパーにしましょう。
  •  トレリーフは25mgじゃ不足でしょう。 (と言いながら「処方薬辞典」(?)のトレリーフの項目を示した。 そこには25mgと50mgとがあった。)
  •  トレリーフは元々てんかんの薬として開発されました。 (筆者注:「エクセグラン100mg」) しかし、てんかんパーキンソン病の人のパーキンソン症状が改善したので、パーキンソン病にも使われる様になったんです。
  •  でも、抗てんかん薬としては、1日600mgまで使えるんです。 (と言いながら、エクセグラン錠100mgの投与量の頁を示し、だから、㏠50mg錠1回は安全な量なんです。)
  •  アリセプトは副作用として吐き気が出るので、最初の一週間は3mgにし、その後、5mgにしましょう、

ナルホド処方する上では、色々と考える事があるんだ・・と思った。

 

診察201708―2

 

(4) 処方について  

                                                     

  • 現在の処方を下記の通り、変更して戴く様、お願い申し上げます。

 

処方(1日当たり)

    薬  剤

    現 在

 

    希 望

 

プラミペキソール0.125mg

     1  錠

     0  錠

ドプス 100mg

     6  錠

     6  錠 

ドパコール配合錠 L-100

     0  錠

     3  錠

レリーフOD錠 25mg

     0  錠

     1  錠

アリセプトD錠 5mg 

     0  錠

     1  錠

ノウリアスト 20mg

     2  錠

     0  錠

シンメトレル 50mg

     4  錠 

     0  錠 

アムロジピン5mg

     1  錠

     1  錠

 

    ※:FaceBookのグループ「パーキンソン病と暮らそう」内の池田葉子さんの投稿(添付)より

 

つまり、ここでは、Fafcebookのコピーを添付したのである。 では、そのオリジナルには何と書いてあったのか? それは、次項で紹介しよう。

 

この処方を一見し、「アリセプト」を見たF医師は、

 

   「認知症の薬ですかぁ・・」

 

と言うので、私が

 

   「脳内のアセチルコリンンを増やす(作用があるので、処方されているらしい)・・」 

 

と言ったら、意を汲んでくれた! その後、F医師は赤い表紙の「処方薬辞典」とも言うべき小さい本を探し出し、薬理学の講義をしてくれた。 例えば、

 

 

また、Facebookの処方に対して、自分なりの考えも披露してくれた。 

 

途中、F医師の表情を見ると、心なしか嬉しそうに見えた。

 

診察201708―1

 

さて、脳神経内科に着くと、ほぼ定刻通りの進行の様だ。 事実、ほぼ定刻によばれた。 私は車椅子を降りて杖を頼りに進み、扉をノックした。 F医師は、

 

   「どうですか、体調は?」

 

と訊いた。 私は、妻にメモを出す様促して、そのメモをF医師に渡した。 F医師は、各行に指を当てながら、読み進めた。 そこには、次の様に書いて置いた。

 

 

 (1)  前回受診(2017年6月〇〇日)以降の主なイベントについて 

 

  • 6月〇〇日、7月〇日、〇〇日、〇〇日、〇〇駅前の〇〇学園に勤務する友人とランチ。
  • 7月〇日、過日、先生にご記入戴いた臨床調査個人票と共に、鴻巣保健所へ指定難病医療給付を申請。
  • 8月〇日、身体障害者2級に対する医療費負担軽減策を受け、後期高齢者と同じく、本人1割負担に。

 

 (2)  前回受診(2017年6月〇〇日)以降の体調の変化について 

 

  • ノウリアスト錠の復活により、3日目頃から回復し始め、約1週間で平衡に。
  • それに伴い、易疲労性も改善。
  • 他覚的にも歩容等が改善。(「何か、以前より調子イイみたいですねぇ」:貴院リハビリテーション科の石井理学療法士
  • その後、姿勢保持障害 → すくみ足 → 突進歩行 が進行した。 易疲労性も悪化。

 

これを見て、F医師は、最早ノウリアストが効果を失ったのを理解した様だった。

 

続いて、質問項目である。

 

 (3) DATスキャンの結果について(質問)  

 

  • 貴院でのDATスキャンにて、ドパミントランスポーターに対する標識リガンドの集積度の正常域は?
  • その正常域に対して、左8+右3.6は低値でしょうか?
  • もし、低値として、L-DOPA製剤(マドパー等)が無効なのは、なぜでしょうか?

 

先ず、⑧についてF医師は、モニター上に表を出した。 そして、こう説明した。

 

   「まだ、症例数が少ないんで、基準値は出ていないですねぇ・・」

 

と。 続いて、⑨にたいして、例の画像を出して、こう説明した。

 

   「普通は、こんな色をしているんです」

 

と言いながら、レインボースケールを示した。 その上の方は。白く輝いていて、~5の数字が書いてあった。 つまり、紫色では、明らかに低い・・と言いたかったのであろう。

 

では、⑩にたいしては? 結局、トランスポーターが少ないので、上手くドパミンが働かない・・と言う追うな事である。 即ち、いくらL-DOPAを投与しても、トランスポーターがすくないのでは、上手く取り入れられない。 まぁ、分かった様な、分からない様な・・中途半端な説明であった

 

次は、本日のハイライトである、処方の変更である。 今回、私は全く新しい提案をした。

 

リハビリ387―診察日なのに、I士が・・

 

さて、8月上旬の診察日になった。 勿論、その直前にリハビリの予約を入れてあった。 こういう場合、その昔は、女性理学療法士、ここ数ヶ月は男性のY士が担当するのが。通例だった。 しかし、今日は診察日なのに、I士が担当である。 

 

代診医師の予診を終え、I士とのリハビリが始まった。 先ずは、I士が私の体調を尋ねた。

 

   「どうですか、調子は?」

 

これに対して、私は正直に、

 

   「余り良くありません」

 

と答えた。 と言うのも、この所、ノウリアストの効果も感じられなくなって来たのであったから。 I士は、

 

   「じゃあ、いつも通り、脚のストレッチから始めましょう」

 

と言って、施術を始めた。 途中のストレッチで、左腕は目一杯伸ばしたが、右は肩を押さえるに留まった。 つまり、前回、私が告げていた右肩の痛みを憶えていてくれたのだ。

 

さて、今日の新技である。

 

一通りストレッチを終えると、彼は私に靴を履く様に促して、台に腰掛ける様指示した。 彼自身は私の正面で丸椅子に腰掛けて、彼の両肩に両手を乗せよ・・と言う。そのまま、彼は後ろに倒れ込んだ。 私は引っ張られて、前傾となった。 この時、胸を張って顔を上げよ・・と言う。 実はこの動作自体は、以前、やった事がある。 勿論、それが後々の訓練の伏線である事は、後から気付いた。

 

さてt、私は今度は立ち上がり、スクワットの練習をした。 更に、立位とスクワット状態とを10回くりかえした。 その様子を見て、彼は、

 

   「脚の筋肉があるからなぁ・・ 〇〇さんの場合は、太腿の前面の筋肉は強いんですよ。 でも裏側のハムストリングスが硬いんです」

 

と言いながら、ハムストリングスを伸ばすストレッチに入った。 

 

先ずは、まっすぐ立ち、そのまま上半身を屈めて、右手で左足の爪先をタッチする。 この時、右膝を伸ばせ‥と言う。 すると、あら不思議! 左右両側のハムストリングスが伸びている!!!

 

すると、今度は台に腰掛けたまま、同じ事を行った。 彼は、

 

   「椅子に座ったままで、出来るでしょ? 時々、やって見て下さい」

 

と言い、宿題になった。

 

さて、この後は、脳神経内科の診察だ。 私は車椅子に乗り妻の介助を得て、エレベータで1階の脳神経内科の待合室に行った。