パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

気功―43

 

4月中旬の今日は、2ヶ月振りの気功の予約日だ。 そこで、妻の運転で気功師宅に出掛けた。 入り口でインターフォンを押すと、

 

   「ハーイ」

 

と言う気功師の返事がした。 進むと、彼女が自宅の入り口の扉を少し開けて、待っていてくれた。

 

早速自宅に入り、挨拶を交わした後、タオルを借りて枕に敷き、うつ伏せで施術になった。 従来、枕を胸の下に置いたので背中が丸まってしまっていたが、今回は顔の下に置いた。 その結果、背中は寧ろ反った。

 

彼女の手が背中の辺りをかざすと、その下が暖かく感じる。 余りの気持ち良さに、ついウトウトとしてしまった。 フと目覚めると妻が私の顔を覗き込む様に、

 

   「寝てた?」

 

と訊いたので、私は小さく頷いた。 しかし、この事について気功師は、何も言わなかった。

 

50分程うつ伏せで、その後10分程仰向けで施術を行い、本日の施術を終えた。

 

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その後、ゴボウ茶と菓子を頂戴しながら、色々な話しをした。 その中には、私の血圧についての話しがあった。 現在の血圧そのものは、正常域だ(126―68)が、それは降圧剤服用の結果であって、

 

   「ホントは薬に頼らない方がいいの。 薬で下げていると、体の方はそれでイイと思っちゃうの・・」

 

と、気功師が説明した。 実は、別の気功師(男性)に全く同じ事を言われた事があった。 気功師が血圧を下げる施術をした・・と言うので、母はその気功師の言を信じて降圧剤の服用を中止した。 そうしたら血圧が上がったらしく、二度とその気功師の所に行かなかった。

 

まぁ、誰も好き好んで薬を飲みたい・・とは思っていない。 そんな患者心理を突いた、ミスリーディングだったのだろうか? 今の気功師は、服薬に反対する事はない。

 

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後は、私の体格についてである。 気功師は、丁度良い・・と評価してくれた。 そう、前回より0.7kg程、体重が減少していたのだった。

 

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最後に、しょうもない話しを。 途中、夜の頻尿の話題になった。 気功師は私に、

 

   「夜中にオシッコに行きたくなって、目が覚めるの? それとも、目が覚めた時に(トイレに)行っておこうと思って?」

 

と質問した。 私が後者である旨を回答したら、急に尿意をもよおしてしまった。 まさか、他人の家で漏らす訳には行かないので、私が左手で〇ニスを抑えると、妻が気付いて、気功師に、

 

   「あのぉ、お手洗いを借りてイイですか?」

 

と訊いてくれたので、「事無き」を得た。 しかし、トイレに行く廊下で、足がすくんでしまった。 その様子を見た気功師は、

 

   「緊張すると、すくんじゃうのよねぇ・・」

 

と理解を示した。

 

いよいよ核心へ―その前に

 

烏賊博士と会うのも、久しぶりだ。 確か前回、アキバ(秋葉原)で会って以来なので、今日は4月の中旬、1ヶ月半振りになる。 そこで、車を運転して博士が勤務する○○学園に行った。

 

4階でエレベータを降り、学生ラウンジに行くと、満杯だった。 新学期だからだろうか? フと外を見ると、烏賊博士がテラスのテーブルに荷を下ろしている様子が見えた。 すると彼も私の気付き、扉を開けてくれた。

 

自販機で缶コーヒーを買い、彼の手作りのチキン入りピタで、昼食とした。 彼の作るピタサンドは、トマトやルッコラが沢山入っていて、美味しい。

 

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では、彼が進めている脳波の処理は? 実は、この春休みにやる予定だったが、国立N大医学部の学生に対する家庭教師のアルバイトに時間を取られ、進んでいない様だ。 何しろ、トータルで56時間にも及んだらしい。 ほぼ3週間でこなすためには、毎平日、3時間以上の講義である。 

 

何しろ生化学の教授が、120名の学生の内下位20名を篩い落とすと明言しているらしいので、学生も必死だったらしい。 ただ、その学生は、無事に進級できた・・と言う。

 

これで家庭教師のアルバイトから解放されたかと思いきや、今度は国立H大の医学生の仕事が入ったらしい。 しかし遠いので、Skypeを使うと言う。 で、烏賊博士の憂鬱は、その学生のレベルらしい。 いくら地方の国立大・・とは言え、

 

   「(この学力で、医学部!?!)」

 

と言うレベルの様だ。

 

つまり。彼は国立大学医学部のレベルの低下を憂えているのであった。 例えば、彼が知り合いの医師に息子の進学先を訊くと、私立大学(の医学部)だと言う。 理由はお分かりだろう。 医師国家試験対策の充実度である。

 

   ―――――――――――――――――――――

 

そんなこんなで、彼は結構消耗してしまい、新しいプログラム言語を習得する意欲を、落としてしまっているらしい。 と言うのも、彼が参考にしようとしているライブラリが、pythonと言うインタープリタで書いてあるらしく、今からpythonを学ばなければならない。

 

勿論彼は、構造化言語としてPascalを習得してはいるが、まぁ、彼の年齢で新しいプログラム言語を学ぶのは、シンドイのだろう。

 

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と言う訳で、今回は脳波測定に関する仕事に、具体的な進展は無かった。 しかし、彼はこれからの仕事の一端として、従来の学説に対する疑問を披露してくれた。

 

それは、「膝蓋腱反射」に関するものである。 これは教科書には、「反射」=不随意運動と書いてある。 もしそうなら、意識をしてもその運動に変化は無いハズである。 しかし現実には、

 

   「(膝を動かさないゾー・・)」

 

思っていると、不随意なハズの運動が抑制されるとか、立位では反射による運動は起こらないとか、純粋な不随意運動や単純な反射とは言えない例も出て来る。

 

ナルホド、言われてみれば、その通りである。

 

リハビリ368―調子悪い・・

 

4月中旬の今日は、リハビリの予約日だ。 しかし、憂鬱だ。 その理由は、体調不良である。 では、その状態(症状)は?

 

一口で言えば、「歩行困難」である。 歩き出そうと思っても、足が出ない。 俗に言う「すくみ足」現象である。 無理に(?)進もうとすると、上半身のみがでるので前傾姿勢となり、「オットット」となってしまう。 

 

また、何とか歩き始められたとしても、姿勢を保持するのが困難なので倒れそうになってしまう。 転倒を防止するためには杖で体躯を支えるか、手摺り等に掴まるしかない。 それを傍目から見ると、非常に危うく見えるらしい。

 

事実、私が総合病院の正面玄関からエレベータホールまでヨタヨタと手摺りを頼りに進んでいると。男性職員が、

 

   「大丈夫ですか? 車椅子を持って来ましょうか? どちらまで?」

 

と矢継ぎ早に訊いて来た。 私が右手で手摺りを持ちながら、

 

   「有難うごzzzzzzzzzzzzzzzzzzzざいます。 えぇ、大丈夫です。 外来のリハビリまで・・」

 

と立ち止まって答えると、職員は右手で私の左腕をガッシリと掴んだ。 私もそれに応える様に左腕に力を入れた。 これにより私の上半身が安定した。 こうして私は、無事に7階に着いた。 私は、

 

   「有難うございました。 (エレベータを)降りると直ぐに(外来リハビリの)受付なので(もう、ここで大丈夫です)・・」

 

と言い、頭を下げてエレベータを降りた。

 

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さて、本日のリハビリであるが、担当は3回連続してY士だ。 彼には、体調が悪く、上手く歩けない旨を伝えた。 彼はマッサージやストレッチを行った後、私のバランスを確認する目的も兼ねて、室内を何度か往復する様指示した。

 

勿論私は、意識して「普通に」歩いた。 最初は、歩けた。 しかし、疲労が蓄積して来ると、徐々に姿勢制御が難しくなり、前傾・爪先歩き・小走り傾向になってしまう。 そのままだと突進してしまうので、台に手を突いて止まった。 その様子を見て、彼は私が倒れ込んだ・・と思った様だ。

 

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こんな調子なので、帰路も大変だった。 私の歩容を見て、

 

   「車椅子を持って来ようか?」

 

と言うので、私はお願いした。

 

しかし、私は車椅子のままで、妻の運転する車を待つ訳にも行かない。 そこで私は正面玄関脇の「(来訪者用)車椅子置き場」まで両腕で漕いで、そこで車椅子を降り、畳んで待った。

 

それを車中で聞いた妻は、

 

   「なんだ、(車椅子の処置を)自分で出来るんだ!」

 

と、チョッピリ驚きを見せた。

 

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では、その原因は? 不明ではあるが、ここ数日、芝生の草取りを終えると、歩行困難に陥っていた。 症状がソックリなのである。 もしかしたら、引きずっていたのかも知れない・・

 

脳にウィルスをぶち込む!?!

 

こんな論文がある事を、友人である烏賊博士が教えてくれた。

 

   https://www.newscientist.com/article/2127440-injecting-virus-into-brain-may-relieve-parkinsons-symptoms/?utm_source=NSNS&utm_medium=ILC&utm_campaign=webpush&cmpid=ILC%257CNSNS%257C2016-GLOBAL-webpush-parkinsons

 

タイトルを直訳すると、「脳にウィルスを注入する事は、パーキンソン症状から救うだろう」と言う事になる。 まぁ、これが本当なら、大きな発見である。 

 

それでは、内容を俯瞰しよう。

 

スウェーデンストックホルムにあるカロリンスカ研究所のErnest Arenasと彼のチームは、失われたドパミン産生神経細胞を置き換える新しい方法を発見した。 彼らは、ドパミン神経が破壊されたマウスの脳にウィルスを注入した。 このウィルスは、アストロサイト―脳の支持細胞―をドパミン神経細胞へと再プログラミングするための4つの遺伝子を運ぶ様、設計されたものであった。

 

注入後5週間、チームはマウスの動き方の改善を観察した。 「それ(マウス)らは歩くのが上手くなり、また対照群と比較して、足どりの非対称性の減少を示した」とArenasが言う。 これは、生きた脳内(in vivo)での細胞の再プログラミングが、この様な改善へと導ける最初の研究である・・と彼は言う。

 

人間の細胞(でのin vitro実験)

ウィルスの効果は、それが注入された特定の領域に局在している。 彼らは脳の他の領域で、ドパミン神経細胞に変化するアストロサイトは観察しなかったし、また腫瘍や他の望まない効果のいかなる兆候も無かった。 

 

チームは同じ4つの遺伝子を、皿の中で人間のアストロサイトをドパミン神経細胞へ変換する目的でも用いた。 と言うのは、この様な技術は患者にも応用可能だからだ。 しかしながら、Arenasは患者でこの様な方法を試す前に、技術に対する注意深い安全性のチェックや改善が必須であると言っている。

 

「これが高齢患者の脳内で働くか否か、そして移植されたドパミン細胞が生成できるのと同じように脳内で(神経細胞同士を)繋げる程の正しいタイプのドパミン細胞を十分生成できるかが、決定的な疑問となる」と、胎児細胞での移植実験をリードしているケンブリッジ大学のロジャー・バーカーが発言している。

 

以上である。 そう言えば、iPS細胞を作成するには、4つの遺伝子を導入する必要があった。 その4つの遺伝子が今回の4つの遺伝子と同じか否かは、分からない。 しかし、「中らずと雖も遠からず」なのかも知れない。 そしてiPS細胞を作成する手間暇を考えると、これも一つの方法なのかも知れない。 

 

逆に考えると、PDの根治方法としては何か問題でもあるのだろうか? と言うのも、その方法を(臨床試験の予定のあるiPS細胞でなく、予定の無い)ES細胞との優劣を比較しているからである。 

 

リハビリ367―Y士、再び

 

4月中旬の今日は、リハビリの予約日だ。 そこで、妻の運転で総合病院に出掛けた。 いつものM医師の予診を受け、待合椅子に腰掛けていると、ほぼ定刻にY士が現れた。 早速、リハビリ室に行き、空いている台を探して、彼は私に靴を履いたままで待つ様指示してから、台を清拭した。

 

では、先ず靴を履いたまました事は? バランスや体調のチェックであった。 例えば立位で片足立ち、スクワット、歩行、押し合い(向かい合って両手で押し合い、倒れない様に前後のバランスを取る)、その場で回転等である。

 

殆んどは彼が予想していたより出来た様であるが、出来なかったのがの場での回転である。 どうしても小刻み回転になり、途中ですくんでしまった。

 

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続いて、マッサージやストレッチを行った。 例によって、彼はうつ伏せの私の背中に全体重と思える程の体重を掛けて来た。 後で分かったのであるが、これは彼の熱心さの表れである・・と思えた。 

 

例えば、私のハムストリングスを伸ばす時も、全身の力を使って自分の肩に乗せた私の脚を持ち上げていた。 勿論、

 

   「大丈夫ですか? 痛くはないですか?」

 

と気を使いながら。

 

いやぁ、どれも熱心なので、私が彼の疲労度を心配する程である。 

 

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途中彼が、病気で困っている事を私に訊いた。 私が

 

   「夜中のトイレです」

 

と答えると、彼は、

 

   「そうですよねぇ、ふらついちゃいますよねぇ。 普通の人だって、夜中にトイレに行く時に・・」

 

とフォローした。 本当は「ふらつく」事が問題ではなく、中々トイレに着けない事による「切迫尿意」が問題なのだ。 まさか、

 

   「そんな時は、どうするんですか?」

 

等と回答に窮する様な質問は来ないだろうが、「万が一」を考えて、

 

   「そうなんですぅ・・」

 

と、惚(とぼ)けてしまった。

 

これは、便利!―Pocket

 

で、私は主にSurfacePro3上のWindows10を使っている。 このブログもWindows10で動くWordで起こしている。 Web検索やサイトからのダウンロードも同様である。 その理由は、速いからである。 

 

一方、Raspberry Pi3上のRaspbian PIXEL(DebianLinux)の画面は、我が家のリビングルームに鎮座している液晶テレビを用いている。 理由は、HDMI接続出来る唯一のデバイスだからだ。 家族が見たいテレビ番組がある時は、「二画面モード」にして運用している。 ここは専用のタッチスクリーンが欲しい所だ。

 

ではWeb検索により、Windows10で、「これは!」と言うサイトを見つけたら、そのURLをどうやってRaspberry Pi3に移せば(写せば)良いのだろう。 従来は、Raspberry Pi3のキーボードから、手入力するしか無かった。 しかし、それって結構なストレスであった。

 

尚、URLを写す理由は、サイト内のプログラムをターミナルにコピペして実行するためである。 プログラムを書き間違えて予期せぬエラーを起こされても困るし、それに特殊な記号(例:「~」(チルダー))の入力は、極力避けたいからでもある。

 

所で、Raspbianをインストールすると、「Chromium」と言う名のブラウザが自動的にインストールされた。 どうも、タブの形状や「・・・」を縦にした「Hot Spot」をクリックした時の設定メニューの項目・並び方・ショートカット名等が、WindowsGoogle Chromeのそれらと良く似ている気がした。

 

   「(もしや・・)」

 

と思った私は、Raspberry Pi3のChromiumChromeと同じUser Name(=メアド)とPasswordでログインし、再起動した。 そして、ブラウザを立ち上げると・・ オオ、初期設定画面が全く同じ(このブログのトップページ)になっている! 更には、同じアドオンもある!!!

 

例えば、アドブロック。 これが双方(Windows上のChromeとRaspbian上のChromium)で有効となるので、同じ画面になる。 更には、Pocketも再現されている。 つまり、URLを両者で共有できる様になる。 これは便利である。 時として、呪文の様なURLを書き写さなくて済む。

 

しかし、その様に便利なPocketであるが、URLをProjectや用途に応じてフォルダに纏められたり、それが階層構造を持てるなど出来たら嬉しい。

 

但し、Windowsに特化したソフトや有料ソフトのアドオン・アイコンは、Chromium上には、見られない。 

 

   ――――――――――――――――――――

 

で、早速にもChromiumでPocketを右クリックして「Pocketを開く」を選択し、Chromeで保存したURLを表示しようとしたら、エラーになってしまった。 曰く、

 

   「時刻が遅れているので、同期できません。 ・・」

 

と言う趣旨のメッセージと共に、「日時を自動的に修正する」と言うHotSpotが現れた。 ではマシンの日時設定は、どうなっているのだろう・・と思って、タスクバー内の時刻表示をクリックすると、「日」は一週間前、「時」は全く異なる時刻を示していた。 そこで、先の「日時を自動的に修正する」をクリックしたら・・

 

あら、不思議! 何も起こらなかった!?! きっと一週間も違っていては、補正出来ないのだろう。 そこで、ターミナルのプロンプトから、

 

   sudo date 05120740  (5月12日7時40分)

 

と修正した。 再びタスクバーの時刻表示を確認するとチャンと修正され、ポケットからURLを呼び出せた。 ただ、一旦補正すると、もう「時刻が遅れているので・・」も「日時を自動的に修正・・」も現れなかった。

 

蛇足ではあるが、UnixLinux)の世界ではhh時mm分は、グリニッジ標準時である。

 

リハビリ366―Y士と・・

 

さて今日は、2017年4月最初のリバビリの予約日である。 そこで、妻の運転で総合病院に出掛けた。 いつものM医師でなく、何度か診て貰った事のある代診の若い医師の予診を受けて待っていると、見慣れぬ男性が声を掛けて来た。

 

彼は自分の名札を示し、

 

   「初めまして、担当のYと申します。 宜しくお願い致します」

 

と挨拶をして来た。 私は椅子から腰を上げながら、

 

   「宜しくお願い致します」

 

と言い、彼の案内でリハビリ室に入り、空いている台に腰掛けた。 彼は、台を清拭し、先ずは片足立ちにより、私のバランスをチェックした。 そして、次の様な質問をした。

 

   「どんな事に、お困りですか?」

 

と。 私が、すくみ足ですと答えると、そのシチュエーションを尋ねた。 私が、

 

   「歩き始めとぉ・・ 方向転換の時です」

 

と答えると、

 

   「階段は、どうですか?」

 

と訊いた。 私が大丈夫な旨を答えると、彼は私を螺旋階段へと案内した。 そう、6階の入院患者専用のリハビリ室へ降りる階段だ。 階段は得意であるが、螺旋階段って、中心からの距離により幅が違うので、外側を歩くと一歩が大きくなり歩き難い。 それでも私が何にも掴まらず上下すると、彼は納得した。

 

   ―――――――――――――――――――

 

こうして、彼の施術が始まった。 先ずはマッサージやストレッチから・・と思ったら、うつ伏せで、背中に体重を掛けて来た。 きっと、私の歩行の様うを見て、円背(えんぱい)が気になったのだろう。 まぁ、確かに「歩く時は、背筋を伸ばせ」と言われる。 私自身はそれが、昔からの癖なのか、症状なのか、D2アゴニストによる副作用なのか、分からない。 唯、言えるのは、「防護姿勢」の意味合いもある・・と言う事だ。 

 

どういう事かと言うと、背筋を伸ばすと後ろにひっくり返りそうになってしまう事だ。 万が一にも後方突進やその結果後方転倒したら、その危険は計り知れない。 尻餅程度ならまだしも、後頭部を強打する事態だけは避けなければならない。

 

一方、前方突進であれば何かに掴まったり、姿勢を低くしたりして、転倒時でも最悪、手や腕で頭部を守る事が可能である。 まぁ、それでも「顔面制動」のリスクは、あるが・・

 

話しが逸れたが、彼は本当に一生懸命に私の背中を押してくれている。 殆んど全体重を掛けている様だ。 時々、

 

   「大丈夫ですか?」

 

と訊いてはくれるけど・・ 

 

そう言えば、足をマッサージしながらこう言った。

 

   「足が、浮腫んでいますねぇ・・」

 

初見で分かるとは、凄い事だと思った。