リハビリ9―「杖が、お荷物になっています」
「杖が、お荷物になっています」
と言う事は、正しい杖の使い方が出来ていない・・と言う事である。 Y士は私に、
「利き腕は、どちらですか?」
と尋ねた。 私が右手だと答えると、杖の使い方を教えてくれた。 要点は、次の3つ。
? 杖を右手に持って体側に置き、杖と左足とを同時に出す。
? 背筋を伸ばし、杖の先で床を「トン」と突く。
? 大股でゆっくりと歩き、踵から着地する。
うん、確かにこれなら歩きやすい! きっと杖のリズムが、パーキンソン病(症候群)の歩行用のキューとなっているからであろう。 自分でも背筋が伸びて、凜と歩いている印象がしてきた。
そう言えば、これまで「正しい」杖の使い方を、誰からも学んだ事がなかった。
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その次は、肋木(ろくぼく)を使った訓練だ。
Y士の指示に従い、両手で肋木に摑まり、踵を上げた。 これが前回の、私への宿題だった。
・・と思った。 違うのである!
「もっと踵をあげて。 ・・もっと。 ハイ、もっと!」
と言うので、殆ど爪先立ちになってしまった。 しかも、Y士が自分の手で踵が上がっているのを確認しているので、私は踵を下ろせなかった。 下ろせば、私が靴でY士の指を踏んでしまうからだ・・