診察日 − 固まってしまったT医師・・
2011年1月も末が近いある日、6週間ぶりの診察日がやって来た。 妻の運転で家を出たが、道路事情もよく、総合病院の脳神経内科には早めに到着した。
診察は遅れていたが、予約時刻より30分遅れで「中待ち」によばれた。 すると、3〜4分して前の患者が診察室から出てきて、一旦診察室の扉が閉められた。 所が、直ぐに診察室内によばれたのである。
中待ちの椅子から立ち上がろうとしたら、T医師自身が扉を開けて、ニコニコと迎え入れてくれた。 私はその時、
(随分と、気を使ってくれているなぁ・・)
位にしか思わなかったが、これは単なるサービスではなく、それはそれで意味のある事だったのである。
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診察に当たって、この6週間の症状の変化を記録したメモを渡して、評価して貰った。 それとは別に私の行動や言動から、T医師は
「(薬が)効いてますねぇ・・」 (T医師)
と、妻に言った。 妻もそう感じていたらしく、私の症状の改善の話題で盛り上がっていた。 私自身は著変なし・・と評価していたが、きっと妻は私の表情に改善が見られた事を嬉しく思っていたからかも知れない。
そして、T医師は私にこう言ったのである。
「(中待ちの)椅子から立ち上がる時も、支えなしにスッと立ち上がりましたしね!」(T医師)
つまり、T医師が自身で診察室の扉を開けたのは、その様子を見るためだったのだ。 そして診察室内に入る時の歩き方、診察用の椅子への座り方なども参考にしていたのであろう。
所が、私が渡したメモの下の方に目をやったT医師は、固まってしまった。 机に向かって、俯いたままになってしまったのである。
そこには・・