問診と検査予約
先ずは医師による問診であるが、予め下記のメモを持参して見せた。
・ 主な既往症
・ 現在の生活習慣(飲酒、禁煙)と健康状態
・ 現在治療中の疾病と投薬履歴
・ 家族の病歴
・ 主訴と受診理由
この内、主訴は脳神経外科を受診した時のものと同じであるが、念のため再掲しよう。
1.筋力の低下
・歩幅が小さくなった。 足を引きずる。
・歩速が落ちた。
・動作が緩慢になった。
2.バランスの悪化
・感覚が低下し、バランスを失う事がある。
・歩くとき、左に傾いている。
3.その他
・発音が不明瞭で、聞き返される事がある。
・書く文字が小さく、字が下手になった。
・パソコンで、ミスタイプが増えた。
・自動車の運転が下手になった。
そして、医師はこれ以外の項目について問診をした。 勿論、パーキンソン病を念頭に置くと共に、パーキンソン症候群との区別をするためだ。 その理由は両者で症状が似ていても病因が異なるので薬剤に対する反応性が全く異なり、その結果治療方針が全く異なるからである。
・ 主訴にないが、パーキンソン病の典型的症状であるもの
脂汗、目標があると大股で歩行可能、小声、すくみ足
・ 典型的な症状ではあるが、初診段階で発症をみないもの
便秘、手首関節の(他動による)固縮、震顫、陰萎、歩行時の手の振りが小さい
指のタッピング異常
便秘はパーキンソン病の症状の一つで、自律神経系が障害を受けると発症する。
パーキンソン病における筋肉の固縮では、他人が患者の関節を伸縮すると歯車の様にギギギギとする感覚がある。
震顫(振戦)(しんせん)とは、手の震えである。 因みにパーキンソン病では、何も持っていない時に震え、何か持とうとすると止まる。
陰萎(いんい)とは陰茎の萎縮、即ち十分な勃起が得られず、性交が出来ない事である。 妻が同席している状況下、純粋に医学的な質問とはいえ、答えにくかった。 でも、回数や上手下手を尋ねている訳でもない。
タッピングとは、親指と中指、親指と人差し指とを、早い速度で離したり付けたりする事である。 パーキンソン病による震顫があると、指のタッピング運動が震顫に同期してくる。
なお、小字症の判定として、カルテに姓名を2度自筆した。 医師の目前で意識している事もあり、普通に書けた。
その他、眼球の動き、歩行の様子、左右の腕と手首の固縮、転倒防止の反射なども調べた。 また、相手(医師)の指先と自分の鼻とを自分の人差し指で往復するテストも行ったが、正常にできた。 これは、小脳の機能テストらしい。 前述の指のタッピングも、小脳の機能に関係すると言う。
医師はパーキンソン病を疑うも、パーキンソン症候群の可能性を排除するために、2つの検査を行うとした。 MIBGとMRIである。 そして私の都合を聞きながらマウスを操作して、コンピュータの画面で検査の日時を予約した。