リハビリ498―最後のリハビリ(1)
8月下旬の今日は、この総合病院での最後のリハビリの日だ。 そこで、妻の運転で、総合病院に出掛けた。 いつもの様に、M医師の予診を受け、受付前の椅子に座って待っていると、妙齢の女性が声を掛けて来た。 曰く、
「M(士)が午後から急用が出来まして、私が(今日の作業療法を)担当させて頂きます」
と挨拶をした。 初めて見る顔だ。 A嬢としよう。 早速、私は彼女のエスコートを得て、リハビリテーション室に入り、空いている台を探して、腰掛けた。 すると、彼女は私のウォーキングポールを受け取り、台の下に置いた。 彼女は、台の上と枕とを清拭して、私に靴を脱いで台の上に仰向けになる様、指示した。
すると、彼女も靴を脱いで台に上がった。 彼女は自身の顔を、私の顔に近づけて来て、こう言った。
「先ず、肩甲骨のマッサージをしますねぇ・・」
と言いながら、掌(てのひら)を台と肩甲骨の間に、滑り込ませた。 まぁ、ドキドキものである!
――――――――――――――
A嬢は、急遽、交代を言われたのだろう。 書字訓練を引き継ぐ時間が無かったのかも知れまい。 そのため、40分間、ずーっと上半身のマッサージやストレッチを行った。 実は、私にとっては、その方が嬉しい・・ と言うのは、書字訓練だと家でも出来るし、第一、既に、「トントン」と指で机をタップする方法では行き詰まり、字と字を書く間に5秒を置く方法をM士が導入したが、指タップの方法程、劇的な結果は得られなかった。
え? A嬢はどんな女性か?? ・・ですって!?!
まぁ、身長155-160cm、体重並びに3サイズは・・不明。(汗) 顔は卵型で、色白だ。 部品のレイアウトは、目鼻立ちのはっきりした日本人的美人である。 髪は後ろでお団子にしてある。
――――――――――――――――――
すると、彼女が私に訊いた。
「9月から通所リハビリなんですって?」
私が、
「えぇ、そうなんです。 だから、今日がこちら(=総合病院)での、最後のリハビリの日なんですぅ・・」
と答えると、彼女は一瞬、顔を曇らせた。 そこで、私が
「Mさん(M士)には、くれぐれも宜しくお伝え下さい」
とフォローすると、彼女は笑顔に戻り、
「はい、分かりました」
と言って、笑った。 勿論、笑顔は素敵だが、歯茎を出して笑うのが頂けない・・ 彼女の歯がほぼ純白なのは分かるし、歯列が歯科学の教科書の様に美しいのも分かる。 しかし、それらを置いても・・である。 将に、「画竜点睛を欠く」とは、この事だろう。
こうして、リハビリ最終日の前半が終わった。