パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

リハビリ194―職業訓練?

M士は割り箸でそのチップの赤い端を持ち、穴の右上隅に差し込んだ。 穴はそれ程深くはない。

 

   「じゃぁ、やってみて下さい」

 

と言いつつ、割り箸を私に渡した。 私がやって見ると、割り箸でプラスチックの小片を掴むことすら、難しい。 でも、コツさえ分かれば容易だ。 そのコツとは、チップを持つ時、端から5mm位を掴むのだ。 すると残りの重さで、チップが鉛直に立つのである。 こうすれば、穴に入れやすい。

 

私が全てのチップを入れ終わったら、今度はそのチップを割り箸で穴から出し、元の小箱に割り箸で戻した。 ここまでM士からは、コメントが無かった。

 

続いて、チップを変えて、同じ事をした。 但しチップの形状が、異なる。 今度のチップは棒の付いた球体である。 球の直径は約6mm、棒は長さ5mm位だ。

 

   「今度はこれで、同じようにやって見て下さい」

 

と言うので、やってみた。 すると難易度は、格段にアップしていた。

 

今度はチップの重心が、球のほぼ中央にある。 その球体を割り箸で掴む時は、必然的に、直径の両端を持つしかない。 すると、球は回転しない。 即ち、球体から出た棒は、掴んだ時のまま動かない。 すると、始めから棒の方向を考えなければならないし、差し込む時も箸で棒の向きを調節しなければならない。

 

それでも私が何とかやり終えると、M士はその箱に蓋をしようとした。 すると、箱の文字が目に入った。

 

   「職業訓練○○」、「竹○工業株式会社」

 

この道具はリハビリ用ではなく、職業訓練の際の、能力測定用らしい。

 

例えば、M士が金属棒に串ざしになったワッシャーをその板の一端にネジで立てた。 ワッシャーの厚みは2mm程あり、それを左手で棒から外し、右手の割り箸で運んだ先ほどの球体のプラスチックチップと板との間に入れるのである。 

 

なぜこれが「職業訓練」かというと、組立工程を模しているかららしい。 更に穴に付番してあるのは、被験者の適性を調べるためらしい。