リハビリ71―バルタン星人とスペシウム光線
そこで意識をして腕を振り、体のバランスを取ってみた。 すると、腕に力が入ってしまったのだろう、Y士に
「バルタン星人みたいですね?」
と言われてしまった。 きっと腕が硬直し、ぎこちない歩き方になっているのだろう。 鋭い指摘への照れ隠しとして、私が
「シュワーッチ、スペシウム光線―――っ」
と言いながら、ウルトラマンの真似をして見せたら、
「懐かしいですねぇ」
と言われた。 きっと子供の頃、テレビの特撮を観ていたのだろう。
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本題に戻り、
「そうじゃないんです、出した脚の反対側の肩が前に出る事によって、胴体が回転し、その結果、腕が振れるんです」
と教えてくれた。 腕は「振る」のではなく、結果として「振れる」のだ。 つまり「腕が振れていない」と言う指摘は、「胴体が回転していない」と言う指摘だったのである。 この点を意識して歩いたら、自分でも自然な感じがした。
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続いて股関節のストレッチに移った。 今回、初めての動作である。 Y士は私に、台に浅く腰掛け膝を開く様に指示した。
そして、私の正面でスツールに座り、私の両手をY士の肩に置く様、指示した。 この状態で、上半身を前に倒すらしい。 そして、元の様に上体をユックリと戻す。
それを繰り返す内に、Y士は段々と自分の座高を低くして行った。 最終的には、上半身が水平まで倒れた・・と思える程だった。 これは、結構辛い。
一通り終わると、Y士も自らの上半身を戻し、
「顔が真っ赤ですよ! そうじゃないんです、(上体を)倒す時に息を止めちゃ、ダメなんです。 吐くんです」
と教えてくれた。 そう、筋トレの時に習った呼吸法である。 息を止めると、血圧が上昇するからだ。 そのために、顔が赤い。
こうして、定刻の3:00に28回目のリハビリを終えた。