リハビリ61―超難題 ・・と言うか、ほぼ不可能!?!
Y士は部屋の隅から円筒を探してきた。 直径が7〜8cm、長さが1mチョットの紙の管である。 紙の切り口でケガをしない様に、端に緑色のビニールテープが巻いてある。
そして、私に四つん這いになる様に要請した。 例の、片足・片手上げのポーズだろう。 でも、円筒との関連が分からない。
「それでは、右手を上げて下さい」
と言うので、右手を水平まで上げた。 するとY士はその円筒を四つん這いの私の背中に、背筋に沿って載せ、
「じゃあ、この筒が落ちない様に、左足を上げて下さい」
と、いうのだ。 チョットでも揺れたりバランスを崩したりすると、円筒は私の背中から転がり落ちてしまう・・ これだけでも難しいが、難易度は更に上がった。
さてこの技のキモであるが、顔を上げるときの高さを調節し、筒を頭・肩甲骨の間・尻の3点で支えるらしい。
「今度は初めから筒を載せておきますから、左腕を上げるところからやって下さい」
と言うのである。 普通、片腕を上げると、肩も水平から傾いてしまう。 でも、それだけで円筒は落ちてしまう・・
「これって、難しいですねぇ」
と私が言うと、
「そうですよね、でも難しいからこそ、(練習の)意味があるんです」
と、Y士が応えた。 言外に、
(○○さんなら出来ますよ! 私は、出来ない事は要求しません)
と、私を激励している様だった。