診察201602―2
そしてS医師は、ドプス処方の減量による進行性核上性麻痺の症状への影響について尋ねた。
勿論ありのままに、私が姿勢反射が低下した旨を答えると、妻も同じ事と歩容の悪化を訴えた。 その頃には、S医師は次の項目に目をやっていたので、それ以上の質問は無かった。
(2) ドプス処方量の減少による体調の変化について
⑤ 1月4日以降、3錠/日に減量された。 その結果、薬効は漸減した。
⑥ 半定量的だが、6錠/日の状態を80とすると、減量後は70。 その結果、自覚的にも他覚的にも歩容は悪化、姿勢反射も低下した。
⑦ 平均的には収縮期血圧が低下した感もあるが、日内変動の方が大きく、減量処方の効果は不明。
⑧ 米国では、収縮期血圧の正常範囲を120mmHg以下まで引き下げる動きもあるとか?
⑨ 夜間頻尿は続くも、平均3回から2回に減少した。
すると、S医師は私の左腕にカフを巻き、血圧を測り始めた。 結果は、
「上が152の下が109ですねぇ・・」
と、S医師が液晶表示を見せながら言った。
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最後に処方について、こう言った。
「前回は、少し(一度に)減らし過ぎたわねぇ。 じゃあ・・ 今回は、1.5・1.5・1.5(錠/朝・昼・晩)にしましょう。」
と言う事で、4.5錠/日の処方に決定した。 しかし。高血圧に対する処方は無かった。 まぁ、今回の処方で血圧の変化を診たいのだろう。
こうして、次回を7週間後の4月中旬の某日に取り、例をのべて、今回の診察を終えた。
まぁ、メモには次の様に添えておいたが、言及は無かった。
(3) その他
⑩ リハビリテーション継続のオーダー票を発行して下さり、有難うございました。 貴院リハビリテーション科で拝見しました。
⑪ 取り下げ(下記(i))と訂正(下記(ii))
(i) 昨年10月○日に、” The noradrenaline transporter as site of action for the anti-Parkinson drug amantadine“, Sommerauer C., et al, Neuropharmacology 62(4):1708-16 (2012)を紹介したが、Amatadineの濃度が、10-100μM必要である・・と言う。 しかし、現実にシンメトレルを100mg服用しても、血漿中の濃度は最高でも250ng/ml(=1.65μM)程であり、実験系との乖離が大き過ぎる。 そのため、系で本当にNoradrenaline Transporterへの作用を観ているか、疑義がある。 もし系が観ていると主張するなら解離定数を示すべき。
(ii) 昨年11月○日に、「⑮ 結論:調歩の目的には、視覚キューより聴覚キューの方が効果的であった。」としたが、視覚キューと聴覚キューとは作用点が異なるので、(質的に異なるもの同士の)優劣を論ずるべきではなかった。 (「聴覚刺激は後方ステップ動作においての両脚支持期のステップ動作前のAPA期に作用し、その間のCOP-COM距離の延長に有効に働く。 一方、視覚刺激は後方ステップ動作前のAPA期の蹴りだし力とステップ動作後半の両脚支持期のCOM後方移動速度に対して有効に働く」、“聴覚および視覚刺激が健常成人の後方ステップ動作に与える影響”、今野ら,山形保険医療研究,25-31,第17号,2014)
APA=anticipatory postual adjustment(予測的姿勢調節)、COP=center of pressure(足圧中心)、COM=center of mass(体重心)