株式の現金化7―名義株とは?
被告の主張は、次の様である。
「原告が株主であることを主張する被告株式について、原告の供述以外に裏付けとなる資料を被告において確認することができない」
「被告株式を贈与するためには、被告取締役会に決議が必要であるにもかかわらず、贈与を裏付ける取締役会議事録はない」
「原告が自身に所有権が帰属すると主張する被告株式は、単に株主名簿上その様に記載されているに過ぎない」
つまり、『名義株』である・・と言う主張である。
原告は、被告株式に対し「名義を貸しただけ」の旨の書面(確認書、覚書、念書等)を書いた事は無い。 従って、株主名簿に記載された株主が所有者である。 (会社法 第121条)
ただし、最高裁は昭和42年11月17日判決にて、名義借人が真の株主であることを明らかにしている。 特に同族会社では、名義株についての株主等の判定について『措置法令第20条の3第1項第5号に規定する「株主等」とは、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等をいうのであるが、株主名簿又は社員名簿に記載されている株主等が単なる名義人であって、当該名義人以外の者が実際の権利者である場合には、その実際の権利者をいうことに留意する』と規定されている。
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所が、所が・・である。
私は、株式贈与契約書のコピーと、それを承認する旨の取締役会議事録の草案を持っているのである。 ご丁寧に、その草案には被告代表者の自署まである。
つまり、被告(会社)は贈与の認識があり、「取締役会議事録がない」とするならそれは被告の怠慢であり、その責任は被告にある。
もっと言えば、原告は株主総会に出席し、議決に参加している。
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もっと面白い事もある。 それは、税務署から株式取得の原資について私個人に照会が来た事である。
これが何を意味するかと言うと・・
被告は毎年、法人税確定申告書の別表二に株主と株数を記載して申告している。 そして、私の株数に大きな変化(増加)があった事が、そこに記載されている・・と言う事である。