診察201202−1
いつも通りの15:30が予約時刻であったが、受付機を通った時は、既に15:37であった。 遅刻の理由は、税務署での確定申告の相談である。
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妻が相続で受け継いだ土地に道路拡張計画が持ち上がり、土地代金やらマンホールの移設費用やら立竹木(りゅうちくぼく)の移植費用が市から下りたのであるが、確定申告をするに当たり、それぞれが何の収入になり、他の事業とどう損益通算したらよいのか・・がわからなかったのである。
色々と調べて貰ったら、下記の通りだった。
? 土地は分離課税。 収用なので5000万円までの控除により、無税。
? 移設費用は一時所得。 50万円までの控除がある。
? 移植費用は総合譲渡所得。
妻の場合はこの他に赤字の不動産所得があるので、ややこしい。 税務署の担当官自身が損益通算に不案内だったために、パソコンに打ち込んで、確定申告の第四表(一)・(二)を作ってくれた。
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もっとヤヤコシイ話もある。
土地を収用により公共事業に供するためには、地主が整地しなければならない。 立ち木がある場合は、移植か伐採をする事になる。 補償は出るが、その収入は「移植の場合は総合譲渡、伐採の場合は一時所得」となるそうである。 当然、税額も違う・・
更に、収用なので土地代金に対して所得税はかからないが、その金額によっては妻が私の扶養から外れなければならない。 仮に損益通算により、確定申告上、事業が赤字でも・・ 理由は税制が別だから・・だそうである。
そんなこんなで、税務署で予定以上に時間が掛かってしまった。
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話がそれてしまったが、30分程したら、診察に呼ばれた。 待合室までは車椅子だったが、診察は杖で受ける事とした。
三角巾の姿で受診するのは、自分の失敗を見られる様で気恥ずかしい。 I医師には、どんな顔を向けたら良いのだろう・・ I医師は、何と言うだろう・・
妻が開けてくれた扉を杖で通ると、モニターを凝視しているI医師の横顔があった。