救急搬送―6
そして、医師の説明は続いた。
「2つ目の可能性は、胃腸炎です。 もしこれですと、やがて嘔吐と下痢になります。 今の所、吐き気はないんですよね? じゃあ、違うでしょう。」
と確認後、否定した。
「3つ目の可能性は、虫垂炎です。 所謂、盲腸ですね。 盲腸は右の下腹部にあるんですが、最初は痛みが中央から発し、その痛みが段々右下に移って行くんです。 もしそうだったら、直ぐにCTを撮ろうと思ったんですが・・」
それで問診時に痛み方やその拡散の有無を訊いたのだった。
「その場合、痛みが移動するのに、どれ位(時間が)掛かるんですか?」
と言う妻の質問には、
「個人差があります」
と答えるのみだった。 そして、
「救急患者の25%は、原因(疾患)が不明なんです。 ・・ それは、病気の種類が余りにも多いからなんです。 ですから、専門の科を受診して下さい」
「あのぉ、こちらの病院では?」
「消化器内科になります」
「受診の予約は、取って戴けるんですか?」
「じゃあ、(予約を)取っておきますね」
と言う事になった。
そして一旦下がり、直ぐにまた顔を出した。
「尿検査の結果が、出ました」
と言い、検査結果の紙を見ながら説明を始めた。
「糖は、出てませんでした。 ただ、蛋白が出ているんです。 それに・・ 専門用語で申し訳ないんですが、○○円柱や××円柱が(尿沈査から)出ているんです。 またこれも専門用語なのですが、糸球体という尿を作る所が・・」(○○=「顆粒」?、××=「上皮」?)
と説明した。 で、
「どうしますか、これは今回の痛みとは関係ないんですが、折角見つかったので、専門の科を受診しますか?」
「お願いします」
「じゃあ、腎臓内科になりますが、予約はどうしますか?」
「お願いします」
と言う事で、2科を受診する事となった。 そして、
「消化器内科に10時半までに行って下さいね」
と、予約時刻を教えてくれた。