リハビリ187―水彩画(終)
富士山の絵が完成したら、M士は次の課題を持って来た。 今度は花である。 葉の形状から推すと、菊の品種と思われた。
http://www.kaigo-rec.com/upload/save_image/1109cnk14124_b.jpg
花も葉も形状が複雑で、先ほどの富士山とは格段に難しい。 しかも単色で塗りつぶすと、花の立体感が失われてしまう・・
そこで、橙色と黄色の絵の具を筆に付け、花びらの表裏を塗り分けた。
http://www.kaigo-rec.com/upload/save_image/1109cnk14124_4c.jpg
葉も同様に、緑色と黄緑色のグラデーションを用いた。 ただ絵の具の緑は鮮やか過ぎるので、灰色を混ぜてくすんだ感じを出してみた。
これを見ていた研修生が、
「上手ですねぇ・・」
と、評価してくれた。 その言い方から推すと、お世辞でもなさそうだ。
さて終わりに近づく頃、M士がやって来て私が描く様子を見ながら、研修生に教えていた。 聞くとはなしに聞こえてきたきた、二人の会話である。
「筆だと上手く書けるけど、ボールペンだと書けない・・ 不思議でしょ?」
「えぇ・・」
「アフォーダンスって、知っています?」
「・・」
「モノの形は、その機能と結び付いていて・・ 例えばドアノブ。」
と説明をしていた。
この「アフォーダンス」をWebで検索すると、
「物体の持つ属性(形、色、材質、etc.)が、物体自身をどう取り扱ったら良いかについてのメッセージをユーザに対して発している、とする考え。」
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A2%A5%D5%A5%A9%A1%BC%A5%C0%A5%F3%A5%B9
と解説があった。
恐らく、「筆とボールペン」は、書くと言う機能では共通しているが、片や「塗るもの」、片や「線を引くもの」である・・と説明したのかもしれない。