診察201305―1
前任のI医師も女性だが、後任のS医師も女性である。 同じ医科大学からの派遣(非常勤)であり、ギラン・バレー症候群に関する論文の著者の一人であった。
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待つ事40分、漸く診察に呼ばれた。 診察室に入ると、その病院の診察券を机に置いた。 患者間違えを防止するための、この病院でのルールである。
モニターを見ながら、診察券をチラ見したS医師が、
「○○さんですよね?」
と確認したので、妻と私はS医師に挨拶の言葉を返した。
私達の予想とは、全く異なる第一印象だった。 ここで、個人の容姿やその印象を議論する事に意味は無い。 重要なのは、脳神経内科医師としての技量である。 そんな事は言われなくても、理解している。 でも、余りにもギャップが大きいのである。 I医師の印象が強かったためだろう。
例えば、靴。 I医師は真っ赤なパンプスを履いていた事があったが、それが濃紺のタイトなパンツと良く合っていた。 一方S医師はジーンズにスニーカーである。 白衣の着方も「刑事コロンボ」風だ。
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さて、私は前回診察日以降のこの7週間の様子を書いたメモを渡した。 するとS医師は一瞬、キョトンとした。 その様子を察した妻が、
「前任の先生の時も書いていて、(先生が)替わっても続ける様に言われていたんです」
と説明した。 S医師はそれを聞き、食い入る様に見て、
「どうですか、膝は大丈夫だったですか?」
と、質問した。 それは、メモに次の様に書いてあったからだろう。