診察は、より厳密に
「では、診察に入りましょう」 (I医師)
と言い、聴診器を取って構えた。 私はジャケットを脱いで、聴診を受けた。 その結果、
「不整脈は、ありませんねぇ」 (I医師)
との診断だった。 前回受診時に不整脈の存在を示唆されたので、今回、質問としてその有無を尋ねたからである。 取り敢えず、安堵できた。
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指鼻試験は、より厳密となった。 検者(I医師)の人差し指が私から離れ、私が腕を一杯に伸ばさないと、届かない。 でも、(自己評価ではあるものの)難なくできた。 すると、I医師は
「早くやるより、正確にやって見て下さい」 (I医師)
と、リクエストして来た。 私は自分の人差し指をI医師の正面から、毎回同じ軌道で自分の鼻と往復させた。 検者の指の向こうには、真剣な顔のI医師がいる。 それにしても、可愛い女性である。
次にI医師はポケットからペンライトを取り出し、
「この先を、目だけで追って下さい」 (I医師)
と言いながら、私の眼前で上下左右に振った。 前回よりユックリであるし、縦横2往復もさせた。 この他、指タップ、拍手、舌出し、発音などの自発性の動作を再度チェックした。
いずれの動作も自分でも出来たと思うし、妻も見ていて変(=不自然)だとも思っていなかった様である。 何よりI医師から特別な指摘も、繰り返しの指示もなかったので、問題はないのだろう。
そして例の、「破顔一笑」の写真の話題となった。 I医師が撮影し、前任のT医師に送った写真である。