血液検査での問題
「検査(採血)をしたのは、食後でしたか?」 (I医師)
メモには、前回実施した血液検査の結果を尋ねる質問を、書いておいたからであろう。 それは、前任のT医師の指示でもある。
これに対し、妻が間髪を入れずに、
「(普通に)お昼ごはんを食べて、2時間後でした」 (妻)
と、代返してくれた。 よく憶えているものである。 I医師は
「ああ、だから血糖値が高いのね。 後は正常よ!」 (I医師)
と、答えてくれた。 一先ず、安堵である。 しかし2時間経ってもまだ(食後)血糖値が高いのは、たとえ糖尿病との診断を受けてはいないものの、インスリンの分泌が悪いのだろうか? だとしたら、糖尿病の予備軍かもしれない。
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次にI医師が首にかけている聴診器を耳に当てる素振りをしたので、私は急いでジャケットを脱ぎ、カッターシャツのボタンを外そうとした。 それを見たI医師は、
「あ、シャツは、そのままでいいですよ」 (I医師)
と言い、シャツの上から聴診器を当て始めた。 I医師の顔が、私の胸元に近づいてきたが、これは純粋な診療行為である。
呼吸音を聴きながら当てる位置を変え、最後に心音を聴いた。 すると、I医師は私の左手を握ったのである。 勿論、脈を診るためであるが、もうこれだけでTachycardia(頻脈)モノである。 私はI医師の白い指先を見詰めていた。
そして・・
そしてI医師は、気になる事を言ったのである。