調停―8
相手方代理人弁護士が「登記識別情報通知書」を持参して渡せば調停も目的は完了、持参しなければ諦めて取り下げるか、調停不成立となる。
先ずは、前回調停時のアドバイスにお礼を述べた。
「教えて戴いた通り、登記所に行って訊いて来ました。 そうしたら、司法書士による本人確認の他に、事前通知と言う方法もある・・と。」
「それで(所有権移転登記は)出来るんですか?」
「ええ、司法書士にお願いしたら、事前通知でやってくれるそうです。」
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で、肝心の結論は?
残念ながら後者であった。 すると調停委員が、私の顔を覗き込む様に訊いて来た。
「どうしますか?」
と。 これに対し、私が、
「不調にして下さい」
と言うと、委員の顔が一瞬曇った。 もしかしたら「調停不成立」と言う結末は、委員にとって不名誉なのかも知れない。 そして、間を置いて
「では、裁判官を呼んで来ます」
と言って、席を立った。 ご存知だろうが、調停結果の言い渡しは裁判官でないと出来ないのだ。 数分して、当の委員が部屋に戻って来た。 が、独りだった。
「今、裁判官が忙しいそうなんです。 ま、(不調にするのに)急ぐ事もないでしょう」
と言う。 確かに、その通りだ。 不調なら次は提訴であるが、その間が2週間以内なら調停申立て時に要した収入印紙は流用出来る・・事をいっているのかも知れない。
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ある人が私に言った言葉が、急に現実味を帯びてきた。
「裁判すればイイんだよ。 絶対に勝つんだから」
と。