リハビリ77―紙をめくる
「日常生活で、何か困った事はありますか?」
と質問したので、
「狭い所を通る時に(足が)すくんでしまう事と、重なった紙をめくるのが難しい事位でしょうか」
と答えると、指先が思う様に動かないからなのか、訊かれた。
「いや、指先はチャンと動くんです。 キーボードも・・」
と答えながら、両腕を胸の前に出してパソコンのキーボードを打つ真似をした。 すると、一瞬、Y士が固まってしまった。
「ああ、ビックリした・・ 楽器のキーボードかと思っちゃった!」
でも、私が楽器を弾けたら、驚きなのだろうか?
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Y士は立ち上がり、
「それでは、付いて来て下さい」
と、私を促して、作業療法室のイスに座る様に指示した。 この部屋を使うのは、初めてである。 するとY士は、隣室からA4の上質紙を探して来て、縦・横に4つ折りにして、
「さぁ。これをめくって見て下さい」
と促した。 私が
「いえ、こう言うのは(容易に)出来るんです。 難しいのは、感圧式の伝票の様に薄い紙が何枚か重なったものなんです」
と、説明した。
「ええ、これはわざとずらしてあるんです。」
そうなのである、四角が5mm位ずれていたのだ。 次回は見本を持参しよう。