リハビリ21―「ま、まだやるの?」
仰向けになった私に、Y士は膝を立てる様に促した。 両手を前で合わせ、息を吐きながら、頭と上半身を起こして戻すのである。 これなら家で10回でも20回でもやっている。 私はスイスイとやって見せた。
所が、当のY士は私の横で、ボードに何かを記入しているのである。 なかなか
「ハイ、もうイイですよ」
が出ない。 回数を数えていた訳ではないが、流石に20回目を超えた辺りから、疲れてきた。 それでも、先に
「腹筋も、回数多くできる様になりました」
と答えている以上、ここで止める訳にも行かない。 それでも、Y士からストップの声がかからない。 内心、
(ま、まだやるの?)
と思えて来た。 動作が遅くなり、息が上がった頃、ようやく声が掛かった。
「疲れたでしょう? 少し、休憩しまよう」
とY士が言った。 きっとボードに記入しながら、どこまで出来るか、試していたのかも知れない。
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Y士は通常のマッサージの他に、私の左肩(骨折した側)の腱のマッサージを始めた。 親指に力を入れて、腱の位置を補正している感じだ。
(ヘェー・・ 今日はめずらしいなぁ・・)
と思ったが、これは次のリハビリの伏線だったのである。