診察201202-5
「○○さんの場合は、歩行障害だけなんですよねぇ・・」
「薬は、今のまま(の処方量を)続けてみようと思うんです。」
と言い、少し間を置いて、続けた。
「私は(この総合病院の)診察から帰る時、いつも○○さんの事を考えているの・・」
「(大学病院に)戻ってからも(同僚や先輩に)訊いてみるんだけど、『そりゃ、薬が効きにくい(タイプのパーキンソン症候群)でしょう』ね・・って(言われるのよ)。」
妻と私は、I医師が普段から気に掛けてくれている事に、チョッピリ驚いた。 それにしても、嬉しい話である。
薬の飲み方について、妻が質問した。
「あのぉ・・ 朝2錠、昼2錠、夜1錠ではダメなんですか?」
「あのね、薬の血中濃度が一定の方が、イイの・・」
とI医師は答えながら、両手を机の淵で肩幅に広げた。 その両手の間隔が24時間のメタファーであろう。
「でもそうすると、夕方、フラフラして来るんです。」
「でも、それでは夜中にトイレに起きた時・・ (フラフラするでしょう?)」
「あ、それは大丈夫なんです」
と私が答えると、I医師は逆質問を投げかけた。
「今は、どんな風に飲んでいるの?」
「朝8時に2錠、昼3時頃に2錠、夜の10時ころに1錠です」
と私が答えると、I医師はチョット考えて
「それなら、大丈夫ねぇ」
と追認した。
つまり典型的なパーキンソン病の人は、L-DOPAの薬効が切れると、トイレに行くのも大変らしい。 逆に、私が問題なくトイレに行ける事は、逆説的ではあるが、L-DOPAの効果が低い事を示唆しているとも、考えられる。
・・のだろうか?