転倒事故2−救急車で、総合病院へ
(ああ、助かった・・)
と、思った。
隊員は、テキパキとした動きでストレッチャーを私の横に並べて、
「どうですか、(ストレッチャーに)移れますか?」
と、聞いた。 私が右腕で痛む左腕を押さえながら、
「左腕が痛くて・・ それに腰も打ったらしく・・」
と伝えたら、隊員が移動を支えてくれ、何とか乗り移る事ができた。 隊員は掛け声と共にストレッチャーの脚を伸ばして、救急車内に移した。 救急車の内部を見るのは初めてではないが、患者として乗るのは初めてである。
狭いながらも、色々な器具や機械が並んでいる。 隊員は、黒いクリップを私の右手の指に取り付けた。 すると左横の液晶画面に波形や数字が現れたので、どうやらモニターのプローブらしい。
隊員は、私に色々と話しかけてきた。
「何か、治療中の病気はありますか?」
「ええ、パーキンソニズムで・・」
「ああ、それでトットットと走って、止まれなかったのですね?」
と、突進歩行の真似をしてみせた。 この頃、総務から電話連絡を受けた妻が到着し、総務部長と交代した。
「そうです・・」
「じゃぁ意識消失とかでは、ないんですね?」
「ええ、それはありません。」
「衝突の瞬間は、憶えていますか?」
「ハイ」
これらは、単に事故の状況を聞き取るだけでなく、バイタルをもチェックしているのである。
「治療中の病院は、どちらでしょうか?」
「○○総合病院です。」
「じゃぁ、搬送先も○○の方が良いですね?」
「ええ、お願いします。」
と、こんなやり取りが続いた。 その後隊員は、無線電話で総合病院の救急外来と話しはじめ、受入を要請した。