パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

リハビリ58―Mission Impossible


Y士は、ストレッチポールの上に仰向けになっている私に、両手を台に着けて両膝を立て、片足を揚げる様に指示した。 これを左右の足で何度か繰り返した。

 

何の事はない、この訓練も超簡単だ ・・と思えた。 すると

 

   「これは、本当は両手を(台に)着けないでやるんです」

 

と、Y士が言った。 私が軽くこなしたので、難易度を上げた方法を紹介したのだろう。 そこからは、

 

   (○○さんの能力なら、出来るかも。 チャレンジしてみては?)

 

と言う言外の意図が読み取れた。 そこで、試してみたら・・ 難しい! なんて言葉では表せられない程の、高度な技だった。

 

以前は両肘を台に着けていた。 (リハビリ51、2012.10.25) それでもあの難しさ・・だった。

 

考えてみて欲しい。 円柱の上に体を寝かせているので、そのままでは転がり落ちてしまう。 そこで、両膝を曲げて両足を台に着けて安定を保っている。 この状態では接地している両足と円柱が作る面で体を支えている。

 

所が片足を揚げると、バランスは残りの足と円柱に接している「点と線」で確保しなければならない。 転がり落ちないためには、相当な腹筋が必要となる。 ほとんど、不可能に近い様にすら、思えた。

 

そう、この訓練はバランスの練習でなく、腹筋のトレーニングだったのだ! 確かにY士もそんな意味の事を言っていた。

 

同じ道具を用いた同じような動作でも、少し条件を変えるだけで訓練の目的や鍛錬すべき筋肉を変える事ができる。 見た目は同じでも、難易度は格段に異なるのである。

 

リハビリ技法の奥は、深い。