12月7日 - 滞米生活、その37
あれは12月7日の事でした。 私がいつも通り CSU(コロラド州立大学)で仕事をしていると、同僚(米国人)が真顔で
「今日は何の日か、知っているか?」
と訊くのです。 普段は陽気に冗談をカマしているのに、鋭い眼光を放っていた彼の表情は、今でも忘れません。
「(ハテ、今日は祝日でもないし、誰かの誕生日でもなさそうだし・・)」
答えられないでいると、結局、それきりになってしまいました。
でも、彼のあの表情がずっと気になっていました。 そしてある時、気が付いたのです。
「(太平洋戦争の開戦記念日だっ!)」
と。 日本では12月8日ですが、日付変更線の向こう側のハワイでは7日だったのでした。
では、その事により、彼は私に何を言いたかったのか? 歴史では日本軍が真珠湾を攻撃して、大きな打撃を米軍艦隊にもたらした事になっています。 「宣戦布告もせず奇襲した卑怯な日本人」とでも言いたかったのでしょうか? でも、彼は別に戦争に関する議論を私にふっかけたかったのでもなさそうでした。 もしそうなら、
「今日は真珠湾攻撃の日だ。 あの史実をどう考える?」
とでも言って来た事だったでしょう。
同じ大学に勤務している日本人に、
「同僚の米国人から7日に、こんな事を言われた。」
と打ち明けたら、
「中国からの連絡もあり、当時、米国は既に日本軍の動きを察知していたのに、敢えて(真珠湾を)攻撃させる事により、ルーズベルトは世論を煽って戦意高揚させ、参戦を正当化した。」
と、返ってきたのです。 確かにその様な説もあり、それを示唆する史実もありますが、このはてなブログ(SNS)は真珠湾攻撃や日本の戦争責任を議論する場でもないでしょう。
言いたかった事は、現実の戦争を歴史やニュースとしてしか知らない戦後生まれの我々でも、外国に赴くからには、その国の歴史は元より、日本との関係、特にその過去をキチンと知り、正しい歴史観を持っていなければならない・・と言う事です。
そして、米軍士官学校内の戦闘機の様に、
http://psp-pagf.hatenablog.jp/entry/2020/03/27/073529
今も世界のどこかで紛争が生じて、犠牲者が出ている事を認識しなければならない・・と言う事です。 いくら私の様な平和ボケでも・・
12月が来るといつも思い出す、重い話題でした。 あの時の事は、今も私の心の底に淀んでいます。