パーキンソン病/症候群の闘病記です。 同病の方々のご参考になれば幸いです。

idやURLのPSPとはパーキンソン症候群の中の進行性核上性麻痺、PAGFとはPSPの非典型例である純粋無動症の事です。

リハビリ463―む、難しい・・(新技3種)

 

さて、作業療法の後は、理学療法である。 M士が台を清拭してくれたので、その台に仰向けに寝ていると、S士がやって来た。 そして、軽く挨拶を交わして、先ずは、歩容の確認をした。 そして、S士も靴を脱いで台に上がった。 

 

すると、台の端に正座し、

 

   「それでは、宜しくお願い致します」

 

と言って、施術を始めた。 では、今日の新技は? ここでは、3つ紹介しよう。

 

先ずは、脚の押し下げである。 私の下半身の横に座ったS士は、私の片脚を自分の膝の上に乗せ、こう言った。

 

   「このまま、脚を下げて見て下さい。 この時、膝を曲げない様にしてぇ ・・ そう、太腿で押し下げる様にしてぇ ・・ ハイ、膝を伸ばしてぇ ・・」

 

と。 特に、脚に力を入れ様とすると、つい足にも力が入り、その結果膝が曲がってしまうのだ。

 

   「太腿を押し下げる様にするんです」

 

とは言うけれど、どうしても膝が曲ってしまう・・ 結構、難しい。

 

   ―――――――――――――――

 

次は、うつ伏せでの練習だ。 彼はうつ伏せ状態の私に訊いた。

 

   「そのまま(の状態)で、左手を後頭部に持ってゆけますか?」

 

と。 私がその通りにやると、今度は、

 

   「そうそう、そのままの状態で、左腕をあげられますか?」

 

と、訊いてきた。 一応、左腕を持ち上げると、今度は、

 

   「目線を、左腕の先端(の肘)に持って行って下さい」

 

と。 私が、顔を顔を左側に向けると、

 

   「もっと(顔を上げて)しっかり見て下さい。」

 

とか、

 

   「左腕をもっとあげてぇ・・ 顔をもっとあげて・・」

 

と言うのである。 それでも、腕は目一杯上げ、顔も目一杯上げている積もりであった。 しかし、両肩(を結ぶ線)が水平では、左腕を水平以上に持ち上げるのが困難で、首もそうは廻らない。 これって、結構難しい・・

 

   ―――――――――――――――

 

最後は、彼は私を平行棒の所に連れて行き、高さ10cm位の踏み台を平行棒の間にはなえ、平行棒を左右の手摺りとして使い、その踏み台の上に足を乗せて戻る練習をした。 例えば、右足を乗せ。左足を乗せ。右足を戻し、左足を戻す事で1サイクルとなる昇降である。 これを、足の左右をを変えて、何回かやった。 更に、台の高さを半分にし、縁(へり)に踵を乗せ、胸を張りながらお臍を突き出す練習である。 私は、歩容の訓練だと直感した。 と言うのは、気功師から

 

   「お臍から歩くのよ」

 

と言われていたからだ。 ま、胸を張る事とお臍を前に出す事は矛盾する様だが、まぁ、やって出来ない事でも無い。 

 

こうして、最後の練習をしていると、定刻となった。 そこで、リハビリ室を出る時に、折角なので先程練習した通り(胸を張り、お臍を前に出して、)やって見た。 すると、それに気付いたS士が褒めてくれた。 つまり、最後の練習は、歩容の改善のためだったのだ。 

 

しかし、遂に彼の口からは、「歩容」の「歩」の字すら出なかった。 言葉足らずなのである。