リハビリ405―「寧ろ、反る位・・」
さて、今日は、12月中旬のリハビリの予約日だ。 そこで、妻の運転で総合病院に出掛けた。 実は直前まで義妹が来ていて、出発が10分程遅れてしまった。
「(年末も近づいて)駐車場が混んでいるかも知れないので、少し早目に出たい」
と言っていたのに・・である。 それでも、こちらは「連れて行って貰う」身・・ ま、車から降りる時に、
「〇時××分(予約時刻の10分前)になっても来なかったら、先に行っているよ」
と言うのが精一杯だった。 しかし、いつもより10分遅れなので、一人で行く羽目になった。 そこで私は、病院の入り口で借用した車椅子を目一杯畳んで、エレベータに乗った。
同乗の女性(服装から、職員らしい)が
「(行く先は)何階ですか?」
と訊いてくれたので、
「7階をお願いします」
と答えた。 やがてエレベータは7階に到着し、私は苦手な後退歩で出る事になった。 中では女性が「開く」ボタンを押しながら、私が無事に降りられるかどうかを見守ってくれている。 その様な視線を感じると、逆に緊張で足がすくんでしまう。
事実、「オットット」となり、尻餅を付きそうになったが、辛うじて耐えた。 以降は広い所ばかりなので、すくむ場所は無かった。
こうして、一人でM医師の予診を受け、車椅子を邪魔にならない所に置くと、丁度妻が到着し、ほぼ同時にI士がやって来て、
「少し早いんですが、(リハビリを)始めましょうか?」
と言うので、私は急いで上着を脱いで、財布と携帯電話と共に妻に預けた。
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こうして、本日のリハビリが始まった。 まぁ、マッサージやストレッチの内容は毎回、ほぼ同じであるが、最後がその時のテーマによって異なる。 今回は、次の様なものだった。
先ず彼は私に靴を履き、台に浅く腰掛ける様、指示した。 続いて彼は近くの丸椅子に腰掛け、私の正面に位置した。 そして私が彼の両肩に両手を乗せると、彼は後ろにのけぞった。
その結果、私の上半身も前に倒れて行った。 この時彼は、
「ハイ、上半身を反らせてぇ・・」
と言うので、私は目一杯反らせて前に倒れて行った。 そして、最後に元に戻った。 こうして、以上のプロセスを繰り返して行くのであるが、彼は、何度も
「上半身を反らせてぇ・・」
と声を掛けるのである。 後で考えると、自分としては反らせている積もりでも、I士から見たら、未だ不十分だったのだろう。 それは彼のこんな言葉から明らかである。
それは、歩行練習の直後に、言った言葉だ。 彼は私の横に立ち、前傾傾向のある私の胸を真っ直ぐさせながら、
「もっと胸を真っ直ぐした方がイイなぁ・・ 寧ろ、反る位・・」
と。